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2008年10月31日(金) 02時31分

<札幌監禁>市教委と児相、責任押し付け合い毎日新聞

 札幌市北区で女性(21)が約8年間にわたり母親によって監禁状態に置かれていた問題で、同市は30日、岡田寿障がい福祉担当部長が記者会見し「関係機関の連携が不足していた」と対応の不備を認めた。ただ、市教育委員会が「女性が在籍していた市立中学校の教頭が01年、市の児童相談所(児相)の職員に相談した」と主張したのに対し、児相側は「記録がない」と反発。早期救出の機会を逸した責任を市の関係部署間で押しつけ合う事態となっている。【大谷津統一、和田浩幸】

 女性は中学の入学式と翌日に登校した後はまったく姿を見せなくなった。担任の家庭訪問に母親は当初、玄関先やインターホン越しに「娘の具合が悪い」などと応対していたが、やがて拒絶するようになり、女性が中学2年だった01年、教頭が市内の会合で同席した児相の職員に「児相で動いてもらうことはできないか」と相談した−−というのが市教委の説明だ。

 これに対し児相側は「相談を受理した記録はない」と反発。会合の場で話を聞いた職員が正式な相談と受け止めなかった可能性もあり、「あいまいな情報のまま一方的に言われても困る」と市教委に抗議した。

 また、女性の父親が05年1月に電話で相談した北区役所の精神保健福祉相談員に「妻が娘を閉じ込めている」と電話で相談したが、相談員は「深刻な事例ではない」と判断し、父親に助言するだけで済ませたことも明らかになっている。この点について市保健福祉部は「事前に女性の登校拒否の情報があれば、背景が分かるので対応できたかもしれない」と市教委との連携不足を認めている。

 いずれかの時点で関係機関が連携していれば早期発見につながった可能性が高い。女性を長期の監禁状態から救い出す機会を何度も逃していたことになり、岡田部長は会見で「不登校というシグナルの陰に虐待があると十分認識していなかった。(関係機関で)情報を共有し、少しでも早く解決、予防できるようにしたい」と釈明。同市は10月中旬に関係機関による対策会議を設置し、再発防止へ向け問題点を検証しているという。

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