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2008年10月31日(金) 17時14分

猛毒のある清楚な花「ヤマトリカブト」Oh! MyLife

 ヤマトリカブト(山鳥兜)は本州の中部から東北地方の林のふちや湿った草地に自生する山野草。夏から秋にかけて、長さ4センチほどの青紫色の花を数多くつける。名前の由来は舞楽でかぶる鳥兜(とりかぶと)からといわれる。

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 全草に猛毒を含むので、取り扱いにはじゅうぶん注意する必要がある。葉や茎をちぎったりして植物の汁がついた指をなめると危険だ。

 葉にはゲンノショウコ(現の証拠)やニリンソウ(二輪草)のように深い裂け目がある。山菜のニリンソウと間違えて、中毒事故を引き起こすことがある。ニリンソウは春、白い花をつけるが、芽生えのころは見ただけで区別するのはむつかしい。

 ヤマトリカブトの根はニンジンのように塊根(かいこん)になっていて、とりわけ強い毒性がある。塊根を少量でも食べると、たちまち中枢神経に作用して呼吸停止や心臓まひで死に至るといわれる。推理小説やドラマの中だけでなく、じっさいにトリカブトを使った殺人事件が起きている。

 漢方薬の烏頭(うず)や附子(ぶし)は塊根を乾燥させたもので、鎮痛や強心に用いられる。毒薬は「ブス(附子)」という。

 アイヌ民族は熊や鯨を捕るとき、汁を鏃(やじり)に塗ったとわれる。有毒成分は動物の体内に入ると化学変化を起こして無毒化するそうだ。

 世界には150種類以上のトリカブトの仲間があるといわれる。英名では「修道士の頭巾(Monkshood)とか「悪魔の兜(Devil's helmet)」と呼ばれる。キンポウゲ科トリカブト属の多年草。

(記者:矢山 禎昭)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081031-00000000-omn-l14