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2008年10月30日(木) 03時01分

景気対策20兆円超、「真水」は5兆円…首相発表へ読売新聞

 麻生首相が30日に記者会見して発表する政府・与党の追加景気対策の全容が明らかになった。事業規模は20兆〜25兆円となる見通しで、このうち実質的な財政支出額である「真水」は5兆円程度となる。

 総額で2兆円規模の定額給付金を全世帯に支給することや、年末に期限の切れる住宅ローン減税を延長することなどが柱だ。対策の裏付けとなる2008年度第2次補正予算案を、今国会に提出することも検討している。追加対策と合わせ、首相は「11月18日公示—30日投開票」の日程で準備を進めてきた衆院選を当面先送りする方針を表明する意向だ。

 政府が8月にまとめた総合経済対策の事業規模は約11・7兆円で、このうち「真水」は約2兆円だった。金融危機をきっかけに世界経済の減速感が強まっていることから、追加的にこれを大きく上回る規模の景気対策を打ち出す。

 全世帯に支給する定額給付金は、対策の柱として検討してきた定額減税に代わるものだ。今年3月末現在の全国の世帯数で単純に割れば、1世帯あたりの給付金は約3・8万円になる。

 住宅ローン減税では、所得税と住民税の減税額の上限を過去最高の計600万円まで引き上げる。対象はローン残高5000万円までとする。減税の総額は5000億〜6000億円となる見通しだ。

 また、地方の高速道路で、土・日曜、祝日に、走行距離にかかわらず上限を1000円とする制度を新設するほか、トラックなども含め平日の通行料を3割引きにする。首都高速や阪神高速は、これとは別の値下げ策をとる。必要な費用は計5000億円に上る。年内にも実施し、2010年度末までの限定措置とする方向だ。

 追加対策には、10月の先進7か国財務相・中央銀行総裁会議(G7)で合意した金融危機への政策協調を果たす意味合いもある。

 金融機関へ予防的に資本注入できる金融機能強化法の拡充のほか、年末で期限が切れる証券優遇税制の延長などを明記する。

 貸し渋り対策として中小企業の資金繰り支援策を増額する方向でなお調整が続いており、最終的な事業規模の確定は30日に持ち越された。

 財源は、政府系金融機関などに投融資する財政投融資特別会計の準備金から約3兆円を充てるほか、建設国債などでまかなう。景気悪化に伴う国の税収減を補う形で、赤字国債を追加発行する公算が大きい。

 財政再建を棚上げすることへの批判を和らげるため、対策には、将来の消費税率の引き上げも念頭に、中長期的な税制改革の道筋を示す工程表(中期プログラム)を年末までに策定する方針を明記する。

 ◆真水=政府の景気対策の規模を説明するのに使われる。明確な定義はないが、一般的に、公共投資に必要な財政支出や減税の合計額を指す。支出を伴うとは限らない政府系金融機関の保証枠などは、「真水」には含まれず、「事業規模」で表すことが多い。

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20081030-OYT1T00028.htm