麻生太郎首相は二十九日、追加経済対策の一部を前倒し実施するため二〇〇八年度第二次補正予算案を今国会に提出し、成立を目指す方針を固めた。提出時期は早くても十一月中下旬になる見通し。野党の対応によっては、同三十日までの国会会期は大幅に延長される可能性もある。衆院解散の時期をめぐる首相の決断にも影響を与えそうだ。
追加経済対策を裏付ける補正予算案は来年の通常国会にまとめて提出する方向だったが、金融危機に迅速に対応するため、「速やかに実施できるものは前倒しする」（与党幹部）ことが必要と判断した。
二次補正予算案には、中小企業対策として信用保証協会の保証枠拡充や二兆円規模の定額減税に代わる給付金支給などが盛り込まれる見通しだ。
民主党は修正も視野に徹底審議を求める構えで、与党内では来年一月下旬まで会期を大幅延長し、直後に通常国会を召集する「通年国会」案も浮上している。
自民党幹部は二十九日「年内いっぱい国会で（審議を）やって間に合わなければ越年だ。今国会で成立させるのは当たり前だ」と明言した。これに対し公明党幹部は「首相から話を聞いていない。（補正予算は）年末の税制改正ともかかわるので、通常国会でやると思う」と疑問を呈した。
二次補正予算案について、これまで与謝野馨経済財政担当相らは「今国会に審議をお願いしている時間は多分ない」としていたが、政府関係者によると、最近になって首相が財務省幹部に二次補正予算案の編成作業に早急に取り組むよう指示した。
野党が徹底抗戦した場合、予算関連法案は衆院通過後六十日以上経過しないと衆院で再議決できないため「解散のタイミングは遠のくことになる」（与党幹部）との指摘もある。