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2008年10月30日(木) 00時05分

日銀、利下げ検討 政策金利を最大0.25%想定中国新聞

 日銀は二十九日、円高が進行し景気の悪化懸念が強まっていることから、政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標を引き下げる検討に入った。ただ、金利を据え置いたままで大量の資金を金融機関に供給する事実上の量的緩和の方が効果があるとの意見もあり、三十一日の金融政策決定会合に向け金融緩和の手法を調整する。

 利下げする場合は、現在0・5%の政策金利を最大0・25%引き下げることを想定しているもようで、量的緩和政策で金利をゼロに誘導した二〇〇一年三月以来の利下げとなる。

 金融危機の深刻化で、政府は三十日に追加経済対策を発表する。米連邦準備制度理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)も近く、それぞれ追加利下げを決める見通しで、日銀は危機克服に向けた内外との協調姿勢を示す。

 日銀が利下げの検討に入ったことで、二十九日の金融資本市場では「市場参加者の約九割が十一月までの利下げを織り込んだ」(大手銀行)ほか、政府も歓迎の意向を示した。

 日銀が利下げも視野に入れるのは、欧米との金利差縮小で円高が進行するのを阻止する狙いもある。金融政策は、総裁、副総裁を含めた八人の政策委員の多数決で決めるが、金利水準が極めて低いことから効果がないとの否定的な意見も根強く、引き下げ幅についての考えも分かれているもようだ。

 このため、ゼロ金利にはしないものの事実上の量的緩和政策に復帰する案も検討する。具体的には、現在無利子である、金融機関が日銀に預けている準備預金に利子を付ける仕組みを導入する。

 最も安全性が高い日銀への預金に利子が付けば、それを下回る金利水準で資金を貸し出す金融機関はいなくなり、市場金利の下限になる。金利が過度に下がらないようにして一段の資金供給に踏み切る手法だ。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200810290304.html