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2008年10月30日(木) 00時08分

底値判断は早計? 「歴史的株安」根強い売り圧力産経新聞

 瀕死(ひんし)の状態だった東京株式市場が、土俵際で踏ん張りをみせている。28日には日経平均株価が一時7000円の大台を割り込み、26年ぶりの低水準に沈んだが、それを契機に反転。29日も600円近い大幅続伸し、1000円以上の急回復となった。「歴史的にも異常な安値」(大手証券)を受け、買い時を探っていた個人投資家の動きも活発になっている。ただ、金融危機による世界同時不況と、それに伴う企業業績の悪化リスクも根強く、「底値を打った」と判断するのは早計といえそうだ。

 東京市場はこの1週間、円高と株安の負の連鎖により、地滑り的な急落に見舞われた。日経平均株価は27日に平成15年4月につけたバブル崩壊後の最安値7607円を更新し、翌28日の午前中に7000円台も割り込んだ。

 しかし、28日午後から一気に切り返し、1日半で4営業日ぶりに8000円台を回復した。

 大和証券SMBCの西村由美グローバル・プロダクト企画部情報課次長は「主力株は割安感の高まりに加え、これまでに換金などの売りをかなりこなし、底値を試す展開になっていた」と、急反転の理由をこう分析する。政府が市場安定化策や景気対策を矢継ぎ早に打ち出した効果を指摘する声もある。

 買いの主役は、個人投資家。主要3市場(東京、大阪、名古屋)では、相場が激しく乱高下した10月も第3週まで買い越しを続けている。

 活況を呈するのがインターネット証券で、松井証券の10月の1日当たり新規口座開設申込件数は9月の3倍増のペースで、今月29日で約1万5000件に達した。広報・IR担当の治部(じぶ)樹(たちき)リーダーは「底入れが近いと考える人が増えた」と話す。

 マネックスグループの松本大社長も29日の中間決算発表会見で、「この状況で入ってくる投資家は、リスクをとってももうかる妙味を感じているのではないか」と分析する。

 外国為替証拠金取引(FX)でも「こまめに売り買いし、利食いを狙う個人も増えている」(FX業者)との声が聞かれる。

 しかし、金融危機は世界の実体経済に着実にダメージを与えている。

 輸出の低迷や円高の直撃で、ピークを迎えた平成20年9月中間決算では、自動車や電機など牽引(けんいん)役の輸出企業を中心に通期予想の下方修正が相次いでいる。

 株価を映す鏡である業績悪化による売り圧力は根強く、市場では「環境が好転したとまではいえず、為替や景気の動向次第ではもう一段安をつける可能性がある」(外資系証券)との厳しい見方も出ている。

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