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2008年10月30日(木) 02時32分

<日銀>資料流出で破産 「風評被害」松江の酒店毎日新聞

 日本銀行松江支店(松江市)の内部資料が3月、ファイル交換ソフト「Winny(ウィニー)」の暴露ウイルスでインターネット上に流出した問題で、資料に「破綻(はたん)懸念先」と実名で記された松江市内の酒店が松江地裁に破産を申し立て、手続き開始が決定された。「風評被害で資金繰りが悪化した」として、日銀側と進めていた補償交渉が進展しないまま経営破綻に陥った。負債総額は1億5000万円。

 関係者によると、資料流出後、酒店は卸業者から取引中止や取引量を制限されるなどして、売り上げが減少。一部の卸業者からは以前の取引量に戻す条件として、保証金約3000万円を求められるなどし、経営継続を断念した。店舗の閉鎖後も、代理人を通じて日銀側と交渉しているが、進展がないという。

 酒店の経営者は、破産手続きをしたことで自宅や土地に抵当権を設定され、アパートを借りる資金もないという。経営者は「提訴も視野に入れている」と言う。

 日銀松江支店の臼井正樹次長は「相手のあることなので交渉の内容は話せない。ご迷惑をおかけした企業には申し訳ない」と話している。

 資料は3月下旬、松江支店の男性職員(4月に自主退職)がデータを自宅に持ち帰って私有パソコンで作業し、暴露ウイルスに感染、流出した。【岡崎英遠】

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