記事登録
2008年10月30日(木) 02時31分

<年金国庫負担増>財源に財投特会積立金 来年度まず3兆円毎日新聞

 09年度からの基礎年金国庫負担割合の引き上げ財源について、政府・与党は11年度までの3年間は財政投融資特別会計(財投特会)の積立金を活用する検討に入った。麻生太郎首相が「日本経済は全治3年」と11年度までは景気対策を最優先する方針を示し、恒久財源と期待される消費税増税が事実上12年度以降に先送りされたため。ただ、与党内には積立金を経済対策の財源として確保しておくべきだとの声も強く、調整は難航しそうだ。

 基礎年金の国庫負担割合は現在3分の1だが、小泉政権時代の国民年金法改正で09年度までに2分の1に引き上げることが決まった。2分の1への引き上げには年間約2.5兆円の財源が必要で、当初は09年度までに消費税を増税する案が有力だった。しかし、年金記録漏れ問題や07年夏の参院選惨敗で難しい情勢になり、さらに金融危機の深刻化で消費税増税は当面封印せざるを得なくなった。

 しかし、国庫負担引き上げを延期すれば国民の年金不信に拍車を掛けるため、国庫負担上げは予定通り実施し、景気が回復し消費税増税の環境が整うまでの3年間分は財投特会の積立金で財源を賄う案が浮上した。

 財投特会の積立金は金利変動による損失に備えるもの。所定の金額を超えた場合は特別会計法で国債償還に回すことになっており、「つなぎ財源」として活用するには法改正が必要。時限的に流用を可能にする特別措置法が検討されている。

 08年度予算で国債償還に回す予定の積立金は9.8兆円あり、そのうちまだ執行されていない約3兆円分は追加経済対策に盛り込まれる定額給付などの財源に充てられる。09年度予算でも約3兆円の余剰金が発生する見通しで、政府はこの分を国庫負担上げの財源としたい考え。【須佐美玲子】

【関連ニュース】
<図説>選択の手引〜年金問題
図説 基礎年金「税方式」なら
<連載>年金がわかる
財務省:公営公庫から数千億円…定額減税などの財源に検討
社会保障費試算:判断材料乏しく 追加負担増に触れず

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081030-00000009-mai-pol