記事登録
2008年10月30日(木) 02時30分

<追加経済対策>株買い取り拡大 雇用保険料率引き下げ毎日新聞

 政府・与党は29日、景気悪化や金融危機に対応した「追加経済対策」の最終案をまとめた。全世帯を対象に総額2兆円の給付金を支給するほか、新たに株価下支え策として公的機関による大規模な株式買い取り策を検討する方針を盛り込む見通し。雇用保険の年収に対する保険料率(現行1.2%、労使折半)を09年度は0.4ポイント引き下げて0.8%に軽減し、高速道路料金の引き下げも盛り込む。国の財政支出は5兆円弱と、政府が8月末に決めた経済対策(約2兆円)を大きく上回る。事業規模も20兆円に達する見通しだ。財源として赤字国債を発行しないことを明記する。

 麻生太郎首相が30日正式発表する。自民、公明両党は、中小企業対策などを中心に裏付けとなる08年度第2次補正予算案を早期に編成し、今国会に提出するよう要請する。野党側の徹底審議方針で難航も予想され、政府・与党は11月末に迫る今国会会期の大幅延長も検討する。

 銀行等保有株式取得機構などを活用した大規模な株式買い取り案は、株価急落を受けて急きょ盛り込まれる方向となった。02年設立の同機構は政府保証付き借り入れで調達した資金で、06年4月までに銀行と事業会社の持ち合い株約1.6兆円分を購入した実績がある。政府は同機構による株式買い取りを再開・拡大する方針で、与党は対象を持ち合い株以外に広げたり、買い取り規模の最大10兆円程度への拡大を検討している。

 失業手当などを給付する雇用保険の保険料率軽減で見込まれる所要財源6400億円は、約5兆円(08年度)を見込む同保険の積立金を充てる。従業員負担分の保険料率軽減幅は0.2%で、月収30万円の人の場合、月額保険料が1800円から1200円になる。

 高速道路料金の引き下げは、休日(土日祝日)に1回1000円で「走り放題」にする割引の導入などが柱。08年度中に始め、10年度まで続ける予定だ。対象は自動料金収受システム(ETC)の利用者。目玉の「2兆円支給」は当初、定額減税とする方針だったが、早期実現を優先し、現金かクーポンによる給付に変更。99年の「地域振興券」(原則1人2万円)をモデルに所得制限を設けず、市町村を通じて支給する。世帯あたりの額などは今後詰める。【堀井恵里子、清水憲司】

 ◇政府の追加経済対策の概要

<生活者支援>

・所得制限なく全世帯に総額2兆円給付

・介護、雇用、少子化対策の各種基金設立

・雇用保険料引き下げで労使負担軽減

・非正規雇用者の正規雇用化支援

・過去最大規模の住宅ローン減税

<金融・経済対策>

・銀行等保有株式取得機構などを活用した大規模な株式買い取りの検討

・金融機関への予防的公的資金注入を可能にする金融機能強化法の復活

・信用保証制度の大幅拡充による中小企業の資金繰り支援徹底

・中小企業の軽減税率の時限的引き下げ

・省エネ投資促進減税

<地域活性化>

・道路特定財源から1兆円を地方財源に

・高速道路料金の大幅値下げ

・地方自治体に「地域経済対策臨時交付金」

<財源・その他>

・赤字国債は発行せず、特別会計の準備金などを活用

・社会保障の安定財源確保へ消費税を含む税制改革中期プログラム策定

【関連ニュース】
追加経済対策:証券優遇税制の5年延長を検討 政府・与党
追加経済対策:定額減税2兆円 4人世帯・年6万5000円−−与党
定額減税:給付金方式「究極の選挙対策」野党が批判
民主党:追加景気対策13兆円 中小企業に重点
定額減税:所得制限は設けず…与党合意「事務作業が煩雑」

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081030-00000008-mai-pol