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2008年10月30日(木) 02時15分

<実名報道>損害賠償の請求棄却 高裁那覇支部判決毎日新聞

 中学3年の女子生徒にみだらな行為をしたとして逮捕された沖縄県内に住む30代の中学教諭が、「実名報道で名誉を傷つけられた」などとして、県内の民放3社とNHKに損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が28日、福岡高裁那覇支部であった。河辺義典裁判長は「逮捕容疑の内容は公共の重大な関心事であり、実名報道の必要性は高い」と、請求を棄却した1審・那覇地裁判決を支持した。

 河辺裁判長は「報道の正確性・客観性を期するためには実名報道の方が適当」と指摘しながらも、4社の報道内容については「(教諭の)不利益に配慮をする必要があり、逮捕されたという客観的事実の伝達にとどめるべきだ」と述べた。

 また、各社が教諭が起訴猶予となったことを報道しなかったことについて「ニュースバリューがないとして報道しない姿勢にも、報道機関のあり方として考えるべき点があるように思われる」と付言した。

 さらに、民放アナウンサーが事件を報道する際に「あきれた。しかもよりによって」と発言したことに関しては「配慮に欠ける」と指摘し、「逮捕された事実が一度実名で報道されると、無実であったり、起訴されなかったりした場合、事後的に名誉を回復することは極めて困難」と述べた。

 河辺裁判長は判決言い渡し後、この判決内容を報道する際に、教諭が起訴猶予になったことを盛り込むよう要請する文書を、報道各社に配った。

 教諭は07年3月、県青少年保護育成条例違反容疑で逮捕され、その後、起訴猶予になった。【三森輝久】

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