記事登録
2008年10月30日(木) 01時59分

選挙まだ?ぼやき節 賃貸料節約作戦…日付入れず準備、プレハブ投票所も産経新聞

 年内の次期衆院選先送りの公算が高まる中、解散総選挙を見越して準備を進めてきた各地の選挙管理委員会や、立候補予定者は投票所の確保や借りている選挙事務所を維持するかどうかで、悩んでいる。二転、三転する選挙日程予定日に振り回され続けてきた関係者は「はっきりさせてほしい」とぼやく声もしきりだ。

 東京都内の民主新人は、最速の「10月26日投開票」の報道を受けてすぐ、駅周辺に選挙事務所を借りた。家賃は1カ月約50万円。同事務所広報は「日程が延びれば知名度を上げることにつながるが、経済的には苦しい」と話す。

 一方、工夫で乗り切ろうとする事務所もある。

 静岡県内2カ所で選挙事務所を開いた民主現職は、賃貸契約は当初1カ月ごとの更新だったが、今ではどんな状況でも対応できるよう2週間ごとに変えてもらったという。関係者は「日程だけは決めていただければ…」と話す。

 埼玉県の自民現職は駅前の一等地にある5階建てビル1棟を丸ごと選挙事務所として押さえた。ビルは大手英会話学校が入居していたが1年前の経営破綻(はたん)で入居者がいなくなった。片づけを条件に「解散後、使用期間だけ家賃を払う」という破格の条件を取り付けることに成功したという。

 なかなか決まらない選挙日程は、選挙活動にも影響する。

 11月9日投開票を予定して今月27日に決起集会を兼ねた個人演説会を予定していた都内の自民現職は、予約していた1500人収容の会場をキャンセルした。「応援弁士に党の大物議員を考えていたが依頼する前でよかった」と胸をなで下ろす。

 11月30日投票を見込んで、大規模な演説会場を予約した別の新人候補は「公示後なら一部が公費負担になるのに…」とうらめしそうだ。

 神奈川県のある民主党県連幹部は、「このままの状況だと各区に派遣した県連職員を引き上げ、『小休止』ということもあり得る」と話す。

 投票所入場券、ポスターなど選挙日程が決まらないと作れない印刷物の準備や投票所の確保は、各選管とも頭の痛い所だ。

 川崎市選管は期日を入れない選挙用のポスターを約1300枚用意。日程が決まればシールを張って対応するという。東京都立川市選管は「日程を抜いた入場券の『版』は作ったが、繁忙期と重なると印刷が間に合うか心配だ」と気をもむ。

 都内のほとんどの選管で、投票所となる公民館や小学校の日曜日の予約ついて「投票日に当たれば利用できなくなる」と区民に協力を要請。千代田区選管は“本命”とみた「11月2日」は区民の予約を受けずに投票所用に押さえていたが結局、キャンセルした。担当者は「区の施設なのでキャンセル料こそ発生しなかったが区民に迷惑がかかった」と話す。

 川崎市選管は「日程により学校を投票所として使えない場合は学校敷地内に投票所用のプレハブを建てることも検討している」という。開票スタッフなどの人員確保について横浜市選管は「選挙の時は頼むよ」としか言えないと嘆く。

 投票箱や開票台など選挙用品を製造・販売する静岡市駿河区の向田工業所は全国的にも数少ない選挙グッズ業者のため、解散・総選挙ともなれば全国各地の400にものぼる自治体から注文が殺到する。向田仁社長は「9月以降はっきりしない状況が続き、困っている。来年に延びるなら延びるで、選挙関係以外の仕事を受けることもできるのに…」と苦笑いする。

 ■同日選回避?

 市長選の投開票が11月30日の千葉県白井市選管は当初、衆院選に合わせて1週間の前倒し、先送りを視野に日程を決めかねていた。しかし、「これ以上待てない」(市選管)として、今月16日、当初の予定通り市長選を実施すると発表した。市選管は「同日選の方が経費削減ができたが、もう市長選の日程は動かせない」と話す。

 一方、有力視されていた10月26日に市議選が行われた袖ケ浦市では、同日選を避けるため当初1週間の前倒し案が出ていた。「同日選だと投票率は上がるだろうが、市議選の開票は衆院選の次になるため作業は深夜に及ぶ。正確性などを鑑みると同日選は難しい」とする。

 11月9日に区長選挙が行われる東京都荒川区は、同日選が遠のき「同日選だと約4500万円は経費節減ができたのに…」と悔しがっている。

【関連記事】
「どんな困難があっても解散せず」 首相11月上旬に決断 経済対策へ
煙幕?首相が解散準備を指示 先送りの流れ変わらず
民主・赤松選対委員長「解散しなければ野垂れ死に」
孤立深まる中川秀直氏 早期解散論で首相を牽制
国の舵取り大丈夫?与野党“子供レベル”泥仕合

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081030-00000517-san-pol