記事登録
2008年10月30日(木) 01時47分

都税収1000億円超減収か 金融危機 自治体財政に余波産経新聞

 金融危機や景気低迷に伴う企業収益悪化の影響で、東京都の平成20年度の税収が、当初の見込み額より700億円程度減収することが29日、都の試算で分かった。下半期(10月〜来年3月)の景気動向次第では、減収額は1000億円超にまで膨らむ可能性があるという。総務省も20年度の都道府県税収は、法人2税を中心に全国的に落ち込むとみており、世界的な経済不安の余波は自治体の財政にも及んでいる。

 都税収は常に景気の動向に左右されるのが特徴で、平成に入ってからは、わずか3年間で1兆円増減することもあった。

 都によると、20年度の都の税収見込みは5兆5097億円。一般会計の当初予算は6兆8560億円で、このうち80%を都税が占めている。

 都は景気回復と徴収率アップなどで16年から4年連続で税収増を達成し、19年度は5兆5095億円(決算見込み額)と初めて5兆円を突破していた。

 都によると、今年度上半期(4〜9月)の税収は、19年度の同時期と比べ約400億円の減収。内訳は、法人2税が約700億円の減収、税源移譲のため、個人都民税は約300億円の増収だった。

 上半期は、景気の減速で企業収益が悪化。下半期も金融危機や株価下落の影響で設備投資が減退し、個人消費の冷え込みが確実視されており、都は当初の見込みよりも1000億円超の減収のおそれがあるとしている。

 減収が現実のものとなれば、都が10年計画で進めている政策に与える影響も避けられない。例えば、20年度でみると、災害・テロ対策だけで約1200億円の予算を組んでおり、「今までと同じような政策展開が難しくなる。徹底的に切りつめて予算全体を見直さなければならない」(都幹部)という。

 一方、国は都市と地方の格差を解消するため、都の法人事業税の一部国税化を実施する方針。21、22年度の2年間で約6000億円を国に移転するが、都税収の減少が確実視される中で、「都市部に集中する法人事業税を財政難の自治体に配分する」という国の手法が改めて問われることにもなりそうだ。

【関連記事】
「追加経済対策」首相30日に発表 給付金方式の所得上限設けず
選挙前税金バラマキ…麻生2兆円家計支援、実効疑問
首相、地方重視策続々 道路特定財源の一般財源化から1兆円も
政府・与党、追加経済対策に着手 財源確保厳しく
地方法人2税の税収格差縮小 財務省試算

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081030-00000516-san-soci