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2008年10月30日(木) 23時32分

【追加経済対策】有識者らは辛口「消費に回らない」産経新聞

 麻生太郎首相が30日午後、発表した追加経済対策。高速道路料金を1000円以下にすることや、「4人家族で約6万円」になるという給付金など、大胆にも見える政策だが、識者からは厳しい批判が相次いだ。

 経済ジャーナリストの荻原博子さんは「冬のボーナス減の見込みの企業が多く、給付金をもらってもまずはボーナスの補填(ほてん)として貯蓄に回すのが普通」と、給付金は消費に回らないと指摘。「住宅ローン減税は、高額なローンを組むほど得で、庶民ではなくセレブ向けの政策。高速道路料金を1000円以下にしても、庶民が使うのは盆暮れと正月ぐらい。もっと物流業界を意識すべきだ。選挙を意識した内容で、ピンと来ない」と厳しい評価だ。

 東京・高円寺でリサイクルショップ「素人の乱」を経営し、貧乏人の逆襲!タダで生きる方法」(筑摩書房)の著書がある松本哉さんは、「高速料金の引き下げは、車を持ってない貧乏人には関係がない話。給付金は確かにうれしいが、若い人だったらパァーっと飲みに行って終わるのでは。必要のない人にまでばらまくのは無駄な政策で、本当に困っている人は、少しの給付金だけでは根本的な解決はできない。今回の対策はまったく貧乏人の視点がない」と憤る。

 経済アナリストの森永卓郎さんも「企業向けだった前回の緊急対策に比べれば方向性はましになったが、効果はほとんどないだろう。赤字国債を出さないがため思い切りがない。つかみ金を渡し、3年後に消費税で回収するようなもの。本来なら社会保障費をカットしない約束や、年金の現役世代手取り50%保証など、中長期的な政策を打ち出せばいいのに、あらゆる面で中途半端となった」と批判している。

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