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2008年10月30日(木) 23時32分

米新聞、出版界苦境 日刊紙発行を断念、リストラの嵐…産経新聞

 28日付米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は、日刊紙から電子新聞、週刊紙へと転じるクリスチャン・サイエンス・モニター紙の業態変更や吹き荒れるリストラの嵐など、インターネットに押される米新聞・雑誌業界の苦境を伝えた。

 同紙の転換宣言と同じ28日、タイム誌などを発行するタイム社も600人の人員削減と組織改革を、米最大部数のUSA TODAY紙を発行するガネット社も社員の10%に当たる最大3000人のレイオフ(一時解雇)を、それぞれ発表した。その前日には、ロサンゼルス・タイムズ紙などを発行するトリビューン社が、記者を7年前の半分に縮小する編集態勢の縮小方針を明らかにしている。

 部数全米15位のニューアーク・スター・レッジャーは社員40%の削減案で休刊を免れ、2週間前には、有力誌「TVガイド」が雑誌自体の定価さえも下回るわずか1ドルで身売りされた。

 ニューヨーク・タイムズ紙はこうした激変の背景として、「新聞の90%以上の収益は印刷物から得られている」としたうえで、「たったひとつの新聞広告が数千ドルを超す代価となるのに対して、ネット広告は閲覧者1000人につき20ドル程度だ」と、ネット読者の増加に収益構造が追いついていない現状を解説する。

 さらに、短期間で人員削減発表などが相次いだ理由について、「金融危機による第4四半期の悲惨な業績予想も一因だ」とし、印刷メディアの広告収入の3本柱、「自動車、小売り、金融」産業の衰退で広告費が大幅削減されるという危機感が対応策に拍車をかけている可能性を指摘した。

 ただ、新聞・出版業界が衰退すれば、ネットで配信される記事の品質悪化も避けられない。同紙は「(情報源として信頼され、読者が頼りにする)ジャーナリズムのブランドが消滅したら、ネットは早期に無益な情報の掃きだめと化すだろう」とする米インターネット検索大手グーグルのエリック・シュミット最高経営責任者(CEO)の言葉を引用、事態を憂えている。

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