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2008年10月30日(木) 22時23分

<麻生首相>「選挙の顔」空振り 金融危機追い討ち毎日新聞

 麻生太郎首相が30日の記者会見で、衆院解散・総選挙の年内見送りを表明したのは、内閣支持率の伸び悩みや世界的な金融危機などの要因が重なったためだ。与党から「選挙の顔」として期待され、9月の就任以来、「今国会冒頭解散」「追加経済対策発表後」と解散時期を慎重に探ってきた首相だが、与党をほんろうしたあげくの解散先送りは首相の求心力低下につながったといえる。

 「公明党の方々と綿密な意見交換をさせていただき、十分な意思の疎通が図られたと思っている」。首相は30日の記者会見でこう強調したが、首相の戦略転換で連立与党の一角である公明党も右往左往した。

 首相は当初、自民党総裁選で世論を盛り上げ、国会冒頭で民意を問う−−戦略を取っており、11月2日投開票に念頭に置いていた。

 しかし、内閣発足直後の世論調査で内閣支持率は低迷。自民党が9月下旬に行った次期衆院選の情勢調査も、与野党がきっ抗する厳しい数字が出た。首相は「もう少し長く選挙運動をやれば自民党は伸びる」と短期間の先送りを決断。10月1日には記者団にも「補正予算をあげたら解散するというよりは、景気対策にもっと関心を持つべきだというのが世論だ」と先送りをにじませた。

 その後、経済情勢の悪化を受け、首相は11月30日投開票に傾いていく。このころ、首相は麻生派議員に「経済状況の悪化は自民党に有利に働く。乱世こそ自分が求められている」と語った。勝機と判断した首相は追加経済対策のとりまとめを与党に指示。インド洋での給油活動を延長する新テロ特別措置法改正案などが成立する見通しの月末に照準を合わせ、解散に打って出る戦略に切り替えた。

 だが、首相はさらに判断を変える。補正予算成立後の16日夜、首相は都内のホテルで菅義偉選対副委員長らと会談、菅氏から「今やればダメだ。負ける」と見送りを進言された。首相は17日に見送りを判断したが、早期解散で動いていた自民党の細田博之幹事長らには「早期解散の言い方を変えるな」と指示した。解散をちらつかせ民主党に法案審議に協力させる戦略だった。【西田進一郎】

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