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2008年10月30日(木) 21時52分

<追加経済対策>暮らしどうなる…家計への影響は毎日新聞

 「生活者支援」をうたう政府・与党の追加経済対策だが、国民の暮らしにどれだけ役立つのか。総額2兆円の定額給付金や住宅ローン減税などについて、家計への影響を探ってみた。【位川一郎、赤間清広、辻本貴洋】

 ◇定額給付…家族4人で6万4000円

 所得制限を設けずに年度内実施を目指す定額給付金は、全国民一律に支給する場合、単純計算で1人当たり約1万6000円。市町村の窓口で現金かクーポン券を配布する仕組みになりそうだ。

 小渕政権(当時)が99年に配布した「地域振興券」を思い出すが、当時は総額7000億円で、15歳以下の子供を持つ世帯や低所得の高齢者に限り1人当たり2万円分を給付した。20枚つづりの振興券は半年間の使用期限付きで、指定の地元店でしか使えず、額面より安い商品を買うとお釣りがもらえないなど使い勝手は悪かった。

 日本総研の試算では、今夏までのガソリン代や食料品などの値上げで、08年度の勤労者世帯の家計負担は前年度比4万8000円程度増加する見通し。夫婦と子供2人の世帯で約6万4000円の定額給付金が配布されると、負担増加分は吸収できる。ただ景気悪化で今冬のボーナスの大幅なダウンも見込まれ、1回の給付金の効果には限界もある。

 ◇住宅ローン減税…過去最大の600万円に

 マンションなどの購入者は現在、借入金上限2000万円、控除期間10年で最大160万円の減税が受けられる。今回はこれまで最大だった99〜01年の住宅ローン減税(最大減税額587.5万円)の減税額を上回る600万円に引き上げる方針だ。

 ただ、現在の減税対象は所得税のみ。納税額が低い人は控除額を使い切れないため、新たに住民税を控除対象に加えることを検討している。大和総研の試算では、住民税控除が可能になれば、99年と同水準の減税規模でも年収400万円の夫婦と子供2人の世帯で現行の住宅ローン減税に比べ最大約80万円減税額が拡大する。年収500万円で約180万円、年収600万円では約275万円と年収が上がるごとに恩恵が増す。年収800万円を超える世帯では約427万円増える計算だが、既に住宅を購入し毎月のローン返済に負担を感じている世帯に不公平感が募りそうだ。

 ◇高速道路割引…休日1000円で走り放題

 首都圏、大阪圏を除く高速道路で休日(土日祝日)、距離を問わず乗用車の料金を原則1000円(場所により1500円)で乗り放題にする。

 例えば、東北自動車道の青森−盛岡インター間(167キロ)の普通車の通常料金は4050円、青森−宇都宮インター間(576キロ)は同1万1500円だが、適用されればどちらも1000円となる。

 ただ、時間制限やお盆など混雑期を対象外にするかなどの詳細はこれから。また、割引の対象は自動料金収受システム(ETC)装着車だけという条件付きだ。

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