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2008年10月30日(木) 20時50分

<コンゴ民主共和国>反政府勢力、ゴマまで十数キロに迫る毎日新聞

 【ヨハネスブルク高尾具成】アフリカ中部コンゴ民主共和国(旧ザイール)東部で、政府軍と反政府勢力の戦闘が激化。反政府勢力は29日、東部の中心都市ゴマまで十数キロの地点まで迫り、政府軍はゴマを放棄し撤退した。ゴマには約6000人の平和維持活動部隊「国連コンゴ監視団」(MONUC)が駐留しており、反政府勢力が突入した場合、国連部隊と激しい戦闘となる恐れもある。

 反政府勢力は、ツチ系指導者ヌクンダ将軍が率いる「人民防衛国民会議」(CNDP)軍。ヌクンダ将軍は29日、「住民の被害を防ぐ」として停戦を宣言したが、30日にはAFP通信に対し「国連部隊は私を阻止できない」と、ゴマ突入を強行する構えを強調。「国連側が撃ってくれば反撃する」と語った。

 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、ゴマには29日、戦闘があった周辺地域から約4万5000人の避難民が流入。しかしCNDPの突入を恐れ、ゴマから脱出を図る動きもある。ゴマ当局者は「市民はパニック状態だ」と述べた。

 MONUCは過去最大規模の国連による平和維持活動で、インド、パキスタン、バングラデシュ、南アフリカ軍などで構成。ドス代表は、「ゴマ防衛に向けあらゆる手段を講じるが、非常に緊張した情勢」と危機感を示し、潘基文(バンギムン)・国連事務総長は、「人道的な大惨事に至る可能性がある」と警告した。

 民主共和国東部はレアメタル(希少金属)など鉱物資源が豊富で、紛争は資源利権が絡んでいる。政府は07年、50億ドルの借款の見返りに、中国に希少金属の採掘権を与えた。AP通信によるとヌクンダ将軍はこれに強い不満を抱き、政府に説明を求めているという。

 一方、隣国ルワンダのツチ系、フツ系の対立も関連している。民主共和国政府は29日、CNDPと同じツチ系が政権を担うルワンダの部隊が、共和国政府軍に対して越境攻撃を仕掛けたと主張し、アンゴラに支援を要請。紛争は周辺国へ拡大する様相をみせている。

 ◇人民防衛国民会議

 06年7月、反政府勢力「コンゴ民主連合」(RCD)元幹部のヌクンダ将軍が結成。兵力は約5000人とされる。今年1月、政府と和平協定に署名したが、ヌクンダ将軍は欠席した。将軍には戦争犯罪を主導した疑いで、国際刑事裁判所から逮捕状が出ている。

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