記事登録
2008年10月30日(木) 20時42分

「拉致濃厚」失踪者リスト 逡巡の末の公開 産経新聞

 「特定失踪者問題調査会」が新たに発表した32人の「拉致濃厚」リストは、従来とは微妙な差がある。これまでは確度が高く、しっかりと公表できる情報が得られた失踪者を「拉致濃厚」入りとしてきたが、今回は「ハードルを低くしたともいえる」(荒木和博代表)。あえてそれに踏み切ったのは、非公開、不確定な情報も一部開示することで新たな有力情報が得られ、救出につながることに期待をかけたためだ。

 今回のリストについては調査会内でも長い議論、逡巡(しゆんじゆん)があった。従来とは微妙に異なる基準、大量追加した失踪者が「拉致」ではなかった場合の影響…。

 発表を決断したのは、「どんな情報でもほしい」という失踪者家族の切実な訴えに押されたからでもある。政府認定の拉致被害者の家族と同様、高齢化が進み、「取り戻したい」との思いは募る。

 特定失踪者を含めた拉致問題が進展しない中、大量公開のインパクトで救出活動に弾みをつける狙いもある。そのためにも真贋(しんがん)入り乱れる情報を見極め、「踊らされないように注意する必要がある」(調査会)だろう。(住井亨介)

【関連記事】
「拉致濃厚」新たに32人 特定失踪者問題調査会
拉致事件進展への協力要請 斎木局長がヒル氏と会談
「制裁数十年延長でも驚かない」北朝鮮紙
拉致解決求めビラ飛ばす 韓国被害者団体
「拉致濃厚」新たに約30人追加へ 調査会、再検討で

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081030-00000581-san-soci