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2008年10月30日(木) 20時42分

スターリン大粛清から70年 追悼式で犠牲者の名読み上げる産経新聞

 【モスクワ=佐藤貴生】スターリンが旧ソ連時代に共産党員や知識人らを大量処刑した「大粛清」の犠牲者を追悼する集会が29日、モスクワ中心部で営まれた。犠牲者の肉親を含む500人以上が、人権団体「メモリアル」の呼びかけに応じて集まり、祈りをささげた。

 旧ソ連国家保安委員会(KGB)の本部があったルビャンカ広場の会場には朝10時から夜10時までの間、次々に人々が訪れ、1人ずつマイクの前にたって犠牲者の名前や当時の年齢、職業、銃殺刑に処された日を読み上げ、傍らの追悼碑にロウソクを置いた。

 粛清がピークに達したのは1937〜38年で、追悼式は悲劇から70年になるのを記念して昨年から始まった。

 「メモリアル」によると、モスクワだけで37〜38年の2年間で約3万人が犠牲になっており、同団体のアリョーナ・カズロバさんは「モスクワ市内の犠牲者に限定しても、今年も全員の名前を読み上げることはできなかった」と話した。催しに加わった男子学生(16)は「ソ連からロシアへと国が変わり、記憶しておくべき惨事が忘れられつつある」と危機感を示した。

 イタル・タス通信によると、スターリンの大粛清は1910年代後半に始まったとされる。犠牲者は事実上、数十万人から数百万人まで諸説あり、今も正確な数は明らかではない。同広場では30日もスターリンによる政治的弾圧の犠牲者を悼む式典が営まれた。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081030-00000580-san-int