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2008年10月30日(木) 15時01分

<不正会計処理>さらに5県「預け」 計11府県19億円毎日新聞

 地方自治体の不適正な会計処理問題で、物品を架空発注し代金名目で支払った公金を業者の口座などにプールする「預け」が96年度以降、会計検査院が今年指摘した6府県以外に5県で行われていたことが分かった。11府県の預けの総額は、国の補助金と府県費を合わせ計約19億円に上る。検査院は預けは私的流用の温床となるとして問題視しており、10年以上前から続く自治体の悪質な不正経理の根深さが浮き彫りになった。【石原聖、江畑佳明】

 検査院は今年、12道府県の不正経理を指摘した。このうち▽愛知約6600万円▽岩手約3600万円▽和歌山約970万円▽長野約89万円▽京都約10万5000円▽栃木約8万8000円−−の6府県がいずれも02〜06年度、計約1億1278万3000円の預けをしていたと判断した。

 また、検査院は昨年も06年度決算検査報告書で▽長崎約4億775万円(99年度以降)▽佐賀約1億2407万円(00年度以降)▽香川約9億1188万円(96年4月〜02年2月)▽高知約2541万円(96〜01年度)−−の4県でも計約14億6912万円の預けがあったと指摘。香川、高知では10年以上前から預けが行われていたことが判明した。

 さらに、昨年5月に裏金問題が発覚した宮崎県は、最終調査報告書で明らかにした不正経理約3億7000万円のうち、預けは約3億1720万円(02〜07年度)だった。

 預けのための架空発注は、パソコン周辺機器や事務用品など消耗品が目立つ。岩手県は、県土整備部で04年6月にプールしていた預け金からUSBメモリー300個を購入していた。

 愛知県の県税事務所は5年間でボールペンを計1万4230本(約56万円分)、別の県税事務所では電卓計202個(約63万円分)を帳簿上では購入したとされる。いずれも職員数に見合わない不自然な大量購入で、県は預けの疑いがあるとみて調べている。

 会計検査院は11月、07年度の決算検査報告書で12道府県の計10億円超の不正経理を指摘する見通しで、このうち国の補助金は約5億6339万円。06年度報告書では、13府県で計約37億4265万円の不正経理があり、長崎、佐賀、大阪の3府県で、国の補助金が計約7634万円含まれていたと指摘した。

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