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2008年10月30日(木) 19時11分

【麻生太郎首相会見(1)】「経済は100年に1度の暴風雨」産経新聞

 麻生太郎首相は30日夕、首相官邸で記者会見し、追加経済対策を発表した。会見の詳細は以下の通り。

        ◇

 それでは今回まとめさせていただきました国民のための経済対策を発表させていただきます。はじめに現在の経済の状況について、私の認識を申し上げさせていただきたいと存じます。現在の経済は100年に1度の暴風雨が荒れている。金融災害ともいうべきアメリカ発の暴風雨と理解しております。米国のサブプライム問題に端を発しました今回の金融危機というものは、グリーンスパン元FRB(米連邦準備制度理事会)議長の言葉を借りるまでもなく、100年に1度の危機と存じます。

 証券化商品という言葉がありますが、これに代表されます新しいビジネスモデルが拡大をした。しかし、その中で金融機関がそのリスクを適切に管理できず、金融市場が機能不全に陥ったと存じます。ただし日本の金融システムは、欧米に比べ、相対的に安定をしております。日本の土台はしっかりしているということです。しかしながら、全世界的な金融システムの動揺というものは株式とか、債券市場を経て、世界の、また、日本の実物経済、実体経済にも影響を及ぼしていくことが確実であろうと存じます。こうした状況の中で、何より大事なことは生活者の暮らしの不安というものを取り除くことだと確信しております。すなわち国民生活の安全保障であります。暴風雨をおそれて萎縮(いしゅく)してはなりませんし、台風が通り過ぎるまでじーっとしているだけでもだめです。今回の対策はこうした認識を背景に策定をさせていただきました。対策は大きく分けて2つです。1つは国内でできること。それは生活者の安全保障であり、金融の安定です。考えられる限りの大胆な対策を経済対策としてまとめさせていただきました。2つめは国際的にしなければならないことであります。金融の安定化のために国際協調を進めます。

 まず、国民の経済対策について説明をさせていただきます。概要は配布をしていると思いますが、その資料の通りです。今回の経済対策は国民の生活の安全保障のための国民の経済対策です。ポイントはスピード、迅速にということです。これまでにない大胆なもの。重点を絞り、バラマキにはしない。そして財源は赤字国債を出さないこと。策定にあたっての主な考え方を説明します。まず、日本の経済は全治3年という基本認識のもとで今年度からただちに日本経済の立て直しにとりくみます。当面は景気対策。中期的には財政再建、中長期的には改革による経済成長という3段階で経済財政政策を進めてまいります。また、今回の景気対策の意義は、単なる一過性、その場だけの需要を創出することではありません。自立的な内需拡大によるいわゆる確実な経済成長につなげる必要があります。そして体質を転換し、日本経済の底力を発揮させることであろうと思います。さらに財政規律維持の観点から、安易に将来世代にツケを回すというようなことは行いません。経済成長と財政健全化の両立を目指してまいります。こうした考えに基づき対策の財源は、赤字公債に依存しません。

 今回の対策の主なものを紹介します。まず第1は生活者対策です。定額減税については給付金方式で全所帯について実施します。規模は約2兆円。詳細は詰めてまいりますが、単純に計算すると、4人家族で約6万円になるはずです。雇用につきましては、雇用保険料の引き下げ、働く人の手取り金額を増やしたいと存じます。また、年長をすぎたロスト・ジェネレーションともいいますけれども、正規雇用をするように奨励します。介護、子育てについても力を入れます。これは控除可能額を過去最大に拡大したいと思います。

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