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2008年10月30日(木) 19時11分

【麻生太郎首相会見(3)】「3年後に消費税の引き上げをお願いしたい」産経新聞

 簡単に申し上げさせていただけるなら、大胆な行政改革を行ったあと、経済状況をみたうえで、3年後に消費税の引き上げをお願いしたいと考えております。私の目指す日本は中福祉中負担です、福祉に関して。中福祉でありながら、低負担を続けることはできません。増税は誰にだって嫌なことです。しかし、多くの借金を子供たちに残していく、ということも止めなければなりません。そのためには、増税は避けて通れないと存じます。もちろん、大胆な行政改革を行い、政府のムダをなくすことが前提であります。

 次に、国際的な金融・経済問題について申し上げます。まず、金融機関に対する監督と規制の国際協調体制についてであります。今回のサブプライム問題に端を発した金融危機をみると、次のような問題が挙げられると存じます。1つ、貸し手側のほうが行った、ずさんな詐欺的な融資。2番、証券化商品の情報というものが不透明。3つ目、格付け会社の格付け手法に対する疑問。このような、証券化商品のあらゆる段階において、不適切な行動がみられたということだと思います。さらに、こうした証券化商品が世界中の投資家の投資に対象となったことで、危機が全世界に広まったと思います。金融機関という本来、厳格な規制が必要とされる分野におきまして、ここまで大きな問題点を見過ごした監督態勢については、大いに反省すべき点があると思います。特に、現在のような、各国当局がおのおの監督を行う仕組みでは不十分だと思います。金融機関を監督・規制する際に、いかに国際協調を構築するかについて、現実的な仕組みを、来月15日にワシントンで開かれる、財政に関するいわゆる首脳会議において議論をしたいと思います。

 2つ目には、格付けについてのあり方です。格付け会社は、債券市場発展には不可欠なインフラ、いわゆる社会的基盤であります。しかし、サブプライム問題において、証券化商品に関する格付けのあり方などに、深刻な問題点があったことは否めないと思います。このことが、世界的な金融不安を増長した、という面がありました。こうした影響力を有する格付け会社に対する規制のあり方がどうあるべきか。また、アジアなどローカルな証券の格付けを行う地場の格付け会社を育成する必要があることを、首脳会議で議論をしたいと思っております。3つ目には、会計基準のあり方についてです。今回のような、金融市場が大きく乱高下するような状況において、すべからく時価主義による評価損益の計上を要求することが果たして適切であろうか。時価主義をどの範囲まで貫徹させるべきか。さらに有価証券を売買するか、また満期まで保有するのか、によっていかなる評価方法が適切であるのか。国際的な合意を目指して、首脳会議で議論を行わさせていただきたいと思っております。これが、国際金融問題に関する私の問題意識と、改革案です。

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