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2008年10月29日(水) 08時02分

ドコモ、出荷台数10%下方修正 加入者減、報奨金削減響くフジサンケイ ビジネスアイ

 NTTドコモが、2008年度の携帯電話出荷台数見通しを約10%下方修正することが28日、明らかになった。31日の中間決算発表時に公表する。新規加入数の減少に加え、販売報奨金の削減で販売価格があがったことなどが影響、携帯電話各社にも同様の影響を及ぼしそうだ。

 ドコモは通期見通しを約2500万台としていたが、4〜6月期の出荷台数は494万6000台と、前年同期比で約2割減少した。7〜9月期も同様の水準にとどまったとみられる。ドコモは「通期で2割減は避けたい」としているが、計画に250万台前後届かない見通しだ。

 ドコモは契約の純増数では04年度の249万件から毎年減少し、07年度には59万件にまで落ち込んだ。一方、旺盛な買い換え需要などを背景に、端末販売台数は公表が開始された06年度が2604万台、07年度も2573万台と横ばい状態だった。

 KDDIは1440万台の年間出荷見通しに対し、4〜9月の販売台数は556万台で、達成は厳しい状況。同社は今月行った中間決算発表時点では見通しを変えなかったが、第3四半期決算発表時には下方修正に踏み切る可能性が高い。ソフトバンクモバイルは出荷見通しを公表していない。

 国内の携帯電話端末市場は、ドコモなど携帯電話事業者が代理店に支払う販売奨励金を大幅に減らす一方、長期契約を条件に通信料金を引き下げる新販売モデルを導入したことなどを背景に、新規の販売台数が急激に減少。調査会社のMM総研は、2008年度の国内出荷台数が前年度比22.4%減の3940万台に落ち込むと予想している。

 携帯電話市況の悪化を受け、ドコモなどに端末を提供するシャープは6日に通期の最終利益を期初予想から約42%下方修正したほか、ソニー・エリクソンもドコモが主導する端末開発計画への参画を見送った。ドコモの出荷台数修正は、メーカーを取り巻く市況の悪化を事業者側が追認した形になる。

 ドコモは11月5日に秋冬モデルの新端末を発表する。上位機種、下位機種の2シリーズで半年ごとに最新モデルを投入する従来体制を見直し、端末あたりの販売期間を伸ばしてメーカーの開発負担を下げるなどの施策を導入する計画だ。

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【予報図】

 ■自由な端末開発環境必要

 業界最大手のNTTドコモの端末出荷台数が見通しに届かなかったのは、これまでの携帯電話事業者主導による市場拡大戦略が転換点を迎えたことを象徴している。一台あたり4万円といわれる販売奨励金を事業者が支出し、端末価格を事実上ゼロ円で提供するビジネスモデルをドコモやKDDIが相次ぎ見直すなか、高価になった端末をユーザーが頻繁に買い換えることはなくなった。加えて、事業者が2年の長期契約と引き替えに通信料金を引き下げる料金プランを導入したことで、端末の買い換えサイクルが伸び、端末販売の鈍化は決定的となった。

 ドコモの場合、市場の激変緩和措置として8000円程度の奨励金を現在も残している。だが、3万円以上高くなった端末代金を、利用者が通信料金の割引で回収するには3年以上かかるといわれ、利用者の買い換え促進効果は見込めないのが現状だ。

 端末開発費用の低減に向け、事業者やメーカー間では、高機能端末を廉価に生産できる共通ソフトの開発の動きも本格化している。端末の競争力低下は事業者にとってもマイナスになるため、事業者は今後、開発負担の軽減や機能の選択の自由など、メーカーがより主導的に端末を開発できる環境の提供を迫られそうだ。(黒川信雄)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081028-00000011-fsi-ind