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2008年10月29日(水) 11時06分

「携帯電話」リサイクル 個人情報保護は大丈夫?産経新聞

 「こんなに集まるとは思っていなかった」。東京の多摩市全域と町田、八王子両市の一部で、ごみ収集と処理を行う多摩ニュータウン環境組合施設課、三浦正弘主査はこう話す。

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 組合が運営する多摩清掃工場では平成18年度から不燃、粗大ごみに混在する携帯電話端末を回収し、1キロ200円でリサイクル業者へ売り渡す。「アルミ缶より単価はいい」と三浦さん。

 端末の処分量は18年度は884キロ、19年度は972キロに増えた。人口約24万8600人のこの地域で、20年度も半年で5893台を集めた。42人に1人がごみとして捨てた計算になる。

 携帯電話通信事業者(キャリア)であるNTTドコモ(ドコモ)、ソフトバンクモバイル(ソフトバンク)、KDDI(au)の各社は、端末を引き取る際、持ち込んだ人に端末の初期化作業をしてもらうことと、目の前でボタン部分数カ所に穴を開け、電源が入らないようにしている。

 「端末には電話帳やメール、写真など個人情報が詰まっている。安心して回収に出してもらうためには個人情報保護が大切」とKDDIのCSR・環境推進室、安藤亨室長は言う。

 その後は契約するリサイクル業者に引き取ってもらい、分別処理され、資源化にまわる。端末は有価物の扱いで、キャリア各社の収入となる。「逆にお金を払って引き取ってもらうと産業廃棄物の位置づけになる。それは手続きも大変」(安藤室長)という事情があるからだ。金額は異なるが、3社は回収した端末を売って得た収入を自然保護活動に寄付しているという。

 端末のリサイクル率は、ドコモ、ソフトバンクの2社でいずれも100%。プラスチックなどを熱源として利用する「サーマルリサイクル」を採用したためで、金属部分などを資源化する「マテリアル化」率ではドコモが75・4%、ソフトバンクは60%だ。auは端末を手で分解する工程を入れてプラスチックも資源化し、マテリアル率は98・0%になった。今年3月から包装材や取扱説明書など紙類も回収している。

 家電量販店も回収の取り組みを始めた。全店で回収を行うビックカメラは8月から、キャリア各社の窓口と同様に本体に穴を開けるなどの対応で開始。同社携帯リサイクルセンターで10種程度に手分解している。機種変更の客に一度持ち帰ってデータ消去などの処理を推奨するが、有楽町店の担当者は「1日1台程度かと思っていたが、月200台ほどになる」と驚きを隠さない。

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