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2008年10月29日(水) 02時30分

<役員遺体>運送会社が保険1億円 警視庁調べ毎日新聞

 東京都江戸川区の運送会社役員、栩野(とちの)雅晴さん(当時66歳)が06年10月、静岡県富士市の山林で遺体で見つかった事件で、栩野さんに総額約1億円の保険が掛けられていたことが警視庁捜査1課の調べで分かった。保険は運送会社が掛け、保険金は死亡時に会社と遺族が折半する内容だが、支払いに必要な遺族の同意がないため支払われていないという。警視庁は、当時の社長(71)らから任意で事情を聴くなどして、経緯を慎重に調べている。

 調べでは、栩野さんは06年9月7日、東京都港区の法律事務所を出た後に行方不明になり、約3週間後に白骨化した状態で発見された。捜査1課などによると、窃盗事件で服役中の男(27)が任意聴取に「3人で栩野さんを拉致して殺害、富士市の山中に埋めた」と供述。神奈川県警が強盗容疑などで今月逮捕した元暴力団幹部、野崎稔容疑者(50)も関与をほのめかす供述をしているという。

 警視庁は近く、大阪府内で入院中の50代の男を含めた3人を、死体遺棄容疑で逮捕して殺人容疑でも追及する方針だが、栩野さんと3人に面識がないため、他に関与した人物がいるとみて捜査を進めている。

 関係者によれば、栩野さんは当時の社長に請われ、02年ごろ運送会社の役員に就任し、不動産取引を主に担当していたという。

 この元社長は「保険金は事故があったときのために役員にかけた。詳しい説明はできない」と話している。遺族は「保険が掛けられていたことは事件後初めて知った。事件解決まで支払いに同意できない」としている。【佐々木洋、古関俊樹、神澤龍二】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081029-00000010-mai-soci