記事登録
2008年10月29日(水) 00時11分

「志半ばの兄を思うと無念」 大阪ひき逃げ1週間 弟会見産経新聞

 大阪市北区梅田の交差点で堺市東区の会社員、鈴木源太郎さん(30)が車にはねられ、約3キロ引きずられて死亡した事件で、鈴木さんの弟で会社員の秀次郎さん(25)が28日、記者会見し、「志半ばで事件に巻き込まれた兄を思うと、無念で胸が締めつけられる」と悲しみの胸中を語った。逃走している犯人については「通常の人間の気持ちがあるなら、いち早い出頭を願う」と憤りを抑えながら訴えた。

 事件発生から丸1週間。兄の突然の死について秀次郎さんは「葬儀を終えてから実感するようになり、眠る前に兄の笑顔を思いだして胸がいっぱいになる」と、最も身近な存在を失った辛さを口にした。

 源太郎さんをまねるように秀次郎さんも幼少時代に空手を始めたという。武道家としての兄を「心技体ともに強かった。本当に尊敬できる存在だった」と振り返った。

 堺市で妻と2歳の長男の3人暮らしだった源太郎さん。妻は2人目の子供を身ごもり、不動産関係の仕事では、宅建の資格取得を目指していた。「仕事でもプライベートでも何事も一生懸命だった」という。

 予期せぬ形で兄の遺体に対面したが、「ご苦労さまでした」と声をかけた。しかし、遺体が見つかった福島区吉野の現場には足を運べないでいる。「今は気を張っているが、現場に立つと糸が切れたようになってしまうかもしれないから」と語る。

 いまも逃走したままの犯人については、「法の下でしっかりと裁かれ、社会的責任を負ってもらいたい」。早期解決への思いを聞かれると、「犯人逮捕は警察にお願いするしかないが、事件を目撃した方にはぜひ協力をお願いしたい」と話した。

【関連記事】
大阪のひき逃げ事件、捜査本部が情報提供求めるチラシ配り
少ない物証、目撃 大阪のひき逃げから1週間
大阪でまたひき逃げ サウジアラビア人留学生重傷
ひき逃げ容疑で介護士逮捕 奈良
ひき逃げ逮捕の中3女子 ゲームで運転「本物もできる」

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081029-00000502-san-soci