裁判員候補者として出頭してください——。12月には、道内の約450人に1人がそんな文面の通知を手にしているはずだ。通知を受け取る確率を道内の地域別でみると、高いのは圧倒的に道南地区。逆に、道東地区は軒並み低く、「南高東低」の地域差は、約2・4倍に上っていた。
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道内の札幌、旭川、函館、釧路4地裁は今年8月、各市区町村に割り当てた裁判員の候補者数を発表した。候補を有権者数で割れば、選ばれる自治体ごとの確率が算出できる。
最も候補に選ばれやすいのは、有権者数が1682人(今年6月現在)の島牧村。240人に1人が候補に選ばれる見通しだ。
逆に、最も選ばれにくいのは、有権者数が15万7623人(同)の釧路市で、691人に1人だった。地域別でみると、函館地裁管内の道南地区で確率が高く、確率が低い自治体は釧路地裁の管内に集中していた。
地域差が生じるのは、各地裁ごとに候補を選ぶ基準となる対象事件数の見積もりが異なるためだ。事件の発生を多めに見積もっていれば、必然的に候補の数も多くなる。
函館地裁では昨年度、殺人など裁判員対象事件が例年の2倍近い23件に上った。裁判員制度のスタートにあたり、さらに事件が増えては大変と、同地裁は事件数を多めに見積もったという。逆に、管轄する面積が全国で最も広い釧路地裁は、対象事件がもともと少ないため、地域差が生じたとみられる。
しかし、選ばれても、そのまま裁判員になるわけではない。事件ごとに候補は約100人に絞り込まれ、その中から6人が選ばれる。最高裁の試算では、裁判員に選ばれるのは補充裁判員も含めば1年で約4000人に1人の割合という。
4地裁を束ねる札幌高裁は「裁判員候補者数は、裁判員法で定められた通りに各市区町村に割り当てている」としており、地域間で差が生じることについては、「ご理解をお願いしたい」としている。