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2008年10月29日(水) 03時01分

全都道府県の雇用協会、裏金2億円超…飲食に流用も読売新聞

 独立行政法人「高齢・障害者雇用支援機構」(東京都港区)が昨年度までの8年間に傘下の29県の雇用協会に支払った業務委託費について、会計検査院が調べたところ、飲食への流用やカラ出張など計約1億1000万円の不正が判明した。

 検査院は昨年度の調査でも他の18都道府県の協会で計約1億1000万円の不正を指摘しており、47都道府県すべてで総額約2億2000万円の不正が確認されたことになる。業務委託費は、厚生労働省が同機構に拠出する交付金が主な原資で、検査院は厚労省と同機構に是正を求める。

 厚労省は同機構へ毎年度、約500億円を支出。約70億円が「業務委託費」として都道府県ごとの雇用協会に分配される。委託費は主に事務費のほか、高齢者・障害者雇用に向けた相談会や講習会の開催に使われる。

 検査院は今年度、29県の協会に調査官を派遣して、2000〜07年度の経理書類を調べた結果、すべてで不正が発覚。ほぼ半数の協会が委託費を私的な飲食費に流用していたほか、カラ出張や臨時職員の架空雇用、勤務日数の改ざんなどで裏金を捻出(ねんしゅつ)していた協会もあった。物品を架空発注して業者に資金をプールする「預け」と呼ばれる裏金作りも、複数の協会で見つかった。

 最も不正額が多かったのは、神奈川県雇用開発協会(横浜市)の約1300万円。同協会では長年、役員会の後の私的な懇親会費を「一般管理費」にもぐり込ませて処理。こうした不適切な飲食費だけで約600万円を占めた。残りは退職者への記念品代(商品券)などに使っていた。

 山梨県雇用促進協会(甲府市)では、イベント経費の水増しによる裏金作りなど約780万円の不正が確認された。裏金の一部は職員の飲食に充てられていた。新潟県雇用開発協会(新潟市)では、職員が出張の際、障害者に付き添った場合に受けられる割引制度(最大約43%)を悪用。正規の料金で旅費を請求し、差額を着服したケースが見つかった。また、年度末に予算を使い切ろうと、切手を大量購入した協会もあったという。

 高齢・障害者雇用支援機構では「検査院から正式な通知がまだ来ておらず、現段階ではコメントできない」としている。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20081028-OYT1T00712.htm