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2008年10月29日(水) 22時24分

法廷ドラマも様変わり産経新聞

 刑事裁判取材の魅力、それは目の前で明らかにされる人間模様だと考えています。さまざまな証拠や証人の発言、被告人質問などによって明らかにされていく事件の過程や背景には、人間ドラマが詰まっています。進んでいく審理を傍聴しながら、被告が有罪か、無罪か、有罪なら量刑は…と思いめぐらせることが、裁判取材の醍醐味(だいごみ)と感じていました。

 しかし、こうした法廷ドラマも、一部では様変わりしつつあります。中でも公判前整理手続きの導入は影響が大きいようです。来年5月に始まる裁判員制度も見据えて開始されたこの制度。裁判官、検察官、弁護人の三者で、初公判前に争点や提出する証拠を絞り込み、迅速な裁判進行を実現しようというものです。

 関係者の間では「通常なら2年かかる」と言われていたライブドア事件の堀江貴文被告の裁判でもこの制度が適用され、初公判から約半年で1審判決に至りました。導入目的は達成したといえます。

 ただ、この制度が適用された事件では、争点以外の部分が法廷で細かく明らかにされることは少なくなっています。制度導入前の同様の事件に関する裁判に比べると、淡々と進んでいくケースが多いようにも思えます。ドラマを期待していたものとしては、物足りなさを感じることもありますが、これも仕方のないことなのでしょうか。(助)

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