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2008年10月28日(火) 13時03分

「核家族」を消し去る Facebookjapan.internet.com

先週公表された Pew Internet & American Life Project の調査結果では、携帯電話とコンピュータが実は「核家族」にとって良いことが分かった。

Pew の調査によると、インターネット、携帯電話、電子メール、インスタントメッセージ(IM)、および Twitter は、離れた場所にいても連絡をとりあうことを可能にし、核家族同士の距離を近づけるという。

この調査では、携帯電話を所有するアメリカ人夫婦やパートナーのなんと70%もが毎日電話をかけ合っていることが分かった。そして、約64%が携帯電話を使ってスケジュールを調整し、およそ半分の約42%が、毎日携帯電話で子供と連絡を取っているという。そして、子を持つ親の半分が子供と一緒に Web サーフィンを楽しんでいるという。

これは興味深いことであり、コンピュータや小型家電機器は家族を自分の世界や小さい社会集団のなかに押し込めてしまう、という一般通念と矛盾しているように思われる。しかし、そこではもっと重大なことが起こりつつある。核家族と大家族を隔てている壁が技術によって侵食されているのだ。

「核家族」とは?
第二次世界大戦後、テレビやポータブルラジオのような技術の幅広い利用、自動車文化の台頭、ニュータウンの増加、そして雇用形態の変化をはじめとする米国文化のさまざまな変化によって、大家族(両親、子ども、そして少なくとも祖父母のいずれかに加え、伯父母、従姉妹などが含まれる場合も多い)と呼ばれる従来の家族単位はほぼ完全に消滅した。

核家族の概念は、何千年も世界のどこにでもあった伝統的な家族構成を粉々にし、核となる家族単位を大家族から物理的に(そして結果として社会的に)切り離してしまった。核家族の概念は年寄りを家庭から追い出すための社会運動だったと言っても過言ではないが、これが核家族の台頭がもたらした負の側面だ。

「核家族」がなくなりつつある訳
60年前の技術や文化の変化が核家族の到来を告げたように、新しい変化はその終焉を告げようとしている。その最たるものがソーシャルネットワーキングの台頭だ。

最も重要なソーシャルネットワーキングサイトとして台頭してきた Facebook は、元々は大学生向けにデザインされたものだ。しかし、卒業後も使い続けるユーザーがいたため、若者全般を対象にしたソーシャルネットワークへと進化した。

そして約6か月前には壁が崩壊し、12歳から90歳までの幅広い年齢層の人々が大量に参加してきた。皆がお隣さんになったのだ。 

これら年齢層の高いユーザーは、若い人たちがしていたのと同じことを Facebook でしている。知人と再会し、連絡を取りあっているのだ。現在の「近況」を更新し、写真を公開し、グループに参加して、気になる人たちの動向を追っている。しかし、若者が友人とのつながりに重点を置く一方で、年齢の高い層は親戚と連絡を取りあうために Facebook を使う傾向にある。そして、Facebook はその用途にとって強力なメディアなのだ。

核家族のメンバーは写真を公開し、学校や毎日の生活について書いていて、それを祖父母、伯父母そして従姉妹が読んで、遠く離れた場所にいる大家族の残りのメンバーの情報を把握する。コメントを書き込み、家族の会話に参加する。Facebook は現実的かつ有意義な形で大家族を1つにまとめつつある。

筆者は先月、専門家のコネクションの数や、個人的な友人の数が増えることがソーシャルネットワークの大きな効果の1つだというコラムを書いた。家族の関係についても同じことが言えるようだ。ソーシャルネットワーキングを利用すれば、毎日の悲喜交々を共有できる身近な存在と思える人の数を2〜3人から20人、30人あるいは40人へと拡大することができる。

ソーシャルネットワーキングは、核家族の大家族からの孤立化をなくし、その過程において核家族の概念を本質的に陳腐化させつつある。 

Pew Internet & American Life Project による調査の主眼は、家電製品の利用によって核家族の結束が増進および強化されつつあることを示すことだった。電子メディアを使ったコミュニケーションが現実的で有意義であることを理解するのも、この傾向を考える1つの方法だ。しかし、電子コミュニケーションは地理的もしくは時間的なものに縛られない。大家族の人々を核家族の構成員から孤立させ、核家族という社会現象を生み出した要因がまさにこれなのだ。

ソーシャルネットワーキングなどの各種電子的連絡手段の台頭を受け、アメリカ人や世界中の人々は、「家族」のなかに祖父母、伯父母、従姉妹、そして成人した兄弟姉妹が含まれ、核家族の孤立化がなくなり、その形も望まれなくなるという従来の状態に戻りつつある。

もしあなたが30歳以上で Facebook ユーザーだったら、筆者の Facebook プロファイルにお立ち寄りいただき、あなたの Facebook を使った大家族との連絡方法を教えていただきたい。

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