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2008年10月28日(火) 08時05分

中川秀直氏、硬直…孤立 先送り論強まる中いまだ早期解散主張産経新聞

 与党内で衆院選先送りの声が強まる中、自民党の中川秀直元幹事長が早期解散に向け、一人気勢を上げている。中川氏は最大派閥・町村派代表世話人ながら先の総裁選で小池百合子元防衛相を擁立して敗れたため、発言力は著しく低下。経済成長重視「上げ潮派」のリーダーとして若手・中堅を育てつつ麻生太郎首相を牽制(けんせい)し続けるが、後ろ盾だったはずの小泉純一郎元首相が引退表明したこともあり、孤立感が深まっている。(加納宏幸)

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 「麻生さんは保守本流。吉田茂元首相の孫だから必ず王道を歩んでくれるはずだ。民意の信を得てから12月に予算編成をするのが王道ではないか」

 中川氏は27日、茨城県日立市に1回生議員の応援に訪れ、早期解散の必要性を説いた。

 さらに安倍晋三元首相、福田康夫前首相の2代続けてねじれ国会にさいなまれた末に行き詰まったことに触れ、「このままいくと安倍さんや福田さんと同じ目に遭ってしまう。これでは2人が何のために身を引いたのか分からなくなってしまう」と麻生首相を暗に批判した。首相の支持が強い茨城県であえて首相批判に徹したのは「反主流派のリーダー」として政権への圧力を強めていく決意の表れとみえる。

 町村派内では、中川氏が総裁選で小池氏を全面支援し、麻生首相を推した森喜朗元首相、町村信孝前官房長官らとの対立が深まった。加えて中川氏は次期衆院選後に民主党の一部との新党構想を描いていたとの憶測を呼んだことが、派内の求心力を著しく低下させてしまった。

 だが、首相が財政規律派の与謝野馨経済財政担当相を重用し、消費税を含む税制の「中期プログラム」策定の方針を示したことで中川氏の闘争心に火がついたようだ。中川氏は24日、自らのホームページに「将来増税すればいいのだから、どんどん財政出動すればいいということでは歳出削減できない。増税工程表が選挙公約になるまでには当然激しい党内論議を呼ぶだろう」と記し、対立姿勢を鮮明にした。

 しかし、世界的な金融危機の中で上げ潮派が主張してきた経済成長は望むべくもない。中川氏は政府・与党が検討する「埋蔵金」(特別会計余剰金)の活用について「埋蔵金を発掘したのは私だ」と存在感を誇示するが、劣勢を覆す「秘策」はまだ見つかっていない。

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