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2008年10月28日(火) 10時38分

Windows 7はスリムなOSか——電子メールやカレンダー、IEなどのアプリは標準搭載されない?Computerworld.jp

 米国Microsoftの次期クライアントOSである「Windows 7」は、一向に評価が上がらないVistaの“課題”を踏まえ、より高速かつ軽量になるもようだ。10月27日(米国時間)から開催されている同社の開発者向けコンファレンス「Professional Developers Conference(PDC)2008」では、同OSのプレベータ版が配布される。本稿では現時点で公開されている情報を元に、Windows 7で“改善”されたポイントを紹介したい。

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■「WinFS」の二の舞は避ける?——事前情報は極力制限

 Windows 7の正式リリースは、2010年初頭に予定されている。しかし、業界筋によれば、早ければ2009年末にリリースされる可能性もあるという。

 WindowsのスポークスマンでWindowsクライアント・コミュニケーションズ・チーム担当ディレクターを務めるクリス・フローレス(Chris Flores)氏は、Vistaの公式ブログに「Windows 7は新しいカーネルを基盤とするのではなく、Vistaカーネルを改良したものになる」と記している。しかし、それ以外の詳しい情報は公表されていない。

 詳細を明らかにしない理由として、Flores氏をはじめとするMicrosoftのWindows関係者は、「過剰な期待を抱かれないようにするため」と口をそろえる。これはVistaの目玉機能として注目されていたものの、開発中止となったWinFSファイル・システムの苦い教訓があるからだ。Windows 7に関してMicrosoftは、確実に搭載できる機能以外は一切触れないという方針だという。

■パフォーマンス——Vistaより速いがXPよりも遅い?

 Windows 7はVistaと同じコードを基盤としているが、Windows 7開発グループの「基本チーム」(Windows 7開発グループ内にある25チームの1つ)は、スタートアップ・サービスの数を減らす、SSD(Solid State Disk)などのテクノロジを有効活用できるようOSを最適化する、ブート時間を短縮するといった作業に取り組んでいるようだ。

 ユーザーとしては、これらの改良点が「Vista Service Pack(SP)1」よりも有効であることを願っている。PC World編集部が独自に実施したテストでは、Vista SP1のパフォーマンスは、Vista初版と比較してもわずかな改善しか認められなかった。また、Vista初版とVista SP1の両方が、Windows XP SP2のパフォーマンスには遠く及ばなかった。

 なお消費電力に関しては、Vistaよりも向上しているようだ。PDC 2008のあるセッションの説明には、「Windows 7はソフトウェア開発者がモバイルPCのバッテリ寿命を気にしないで利用できるOSだ」と記されている。

■アプリケーション——「Windows Live」からのダウンロード方式に

 複数のMicrosoft幹部は、「Windows 7にはVistaに標準搭載されていたメール・アプリの『Windows Mail』や写真管理アプリの『Windows Photo Gallery』、動画編集アプリの『Windows DVD Maker』といった各種アプリケーションは標準搭載されない」と語っている。

 ある同社幹部は、「Windows 7はスリムなOSにして、ユーザーがこれらのアプリケーションを『Home Windows Live』のWebサイトでダウンロード/追加できるようにしたい」と述べている。

 すでに一部のアプリケーションはベータ版が提供されている。関係者によると、今後はさらに追加アプリが登場する予定だという。

 Windows Live担当ジェネラル・マネジャーであるブライアン・ホール(Brian Hall)氏は、「これらのアプリケーションを標準搭載しないことで、Microsoftの開発者はOSの開発作業に集中でき、サポートも合理化できる」と説明する。確かにOSがスリムになれば、修正パッチの数も削減できるはずだ。

 Hall氏によると、今後同社は各PCベンダーと協力し、ユーザーが必要なプログラムのみを選択できるダウンロード・ページにリンクするデスクトップ・ショートカットを表示させる計画だという。

(Tom Spring,Yardena Arar/PC World米国版)

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