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2008年10月28日(火) 23時34分

元行員、融資のたびに金銭要求 新銀行東京の融資金詐欺産経新聞

 新銀行東京の融資金詐欺事件で、元行員の青木千代美容疑者(56)がブローカーの渡部善和容疑者(49)の紹介で少なくとも4件融資し、その度に手数料を要求していたことが警視庁捜査2課の調べで分かった。2人は7年前に知り合い、青木容疑者の入行当初から結託しており、同課はほかに不正があったとみて調べている。一方、立件された融資金は別のブローカーの松本順也容疑者(45)が分配、主に融資先の関連会社の運転資金に充てられたとされる。

■癒着

 これまでの調べでは、青木容疑者は大手銀行を退職後、京都市の金属製品メーカーに勤務。平成13年にこの勤務先で渡部容疑者と知り合った。

 青木容疑者は18年1月に新銀行に入り、同年4月に池袋出張所に配属。その直後、渡部容疑者の紹介で都内の会社に約500万円の融資を実行し、融資金の6%の30万円を手数料として受け取っていた。

 その後も立件分を含め渡部容疑者の紹介で少なくとも3件を融資。その度に手数料を要求し、受領していたとみられる。

 こうした手数料の見返りに、青木容疑者は不正工作に積極的に関与していた。

 逮捕容疑の融資では、融資先のリフレックスに営業実態があることを仮装するため、現地調査写真としてリ社関連会社のアシストプランの事務所を自分で撮影。決算書の改竄(かいざん)もアシスト社側に指示した。さらに「750万円ぐらいは返済しておいて」と指示、不正の隠蔽(いんぺい)工作を主導した。

 こうした不正融資を含め、青木容疑者は1年間に約23億円の融資を担当。トップクラスの営業成績を誇り、18年12月にはノルマを達成した行員に支給される報奨金(最大200万円)70万円を獲得していた。

■分配

 今回の事件はアシスト社会長で指定暴力団住吉会系元組員の大丸(だいまる)正志容疑者(46)が考案。18年9月中旬、知人の松本容疑者に「アシスト社では融資を受けられないので、リ社でなんとかならないか」と仲介を依頼した。

 アシスト社はすでに同年3月、新銀行東京上野出張所から融資額上限の5000万円の融資を受けていたためだ。この融資は19年8月に延滞が始まり、最終的に約3600万円分が焦げ付いている。

 松本容疑者から大丸容疑者の依頼について連絡を受けた渡部容疑者は、青木容疑者にリ社を紹介。18年9月下旬にリ社の口座に5000万円が振り込まれた。

 これを松本容疑者が引き出し、アシスト社に2700万円、大丸容疑者に1750万円、青木、渡部、松本3容疑者に各100万円、リ社社長の諸隈寛容疑者(49)に30万円を分配した。

      ◇

 警視庁捜査2課は詐欺容疑の共犯として、アシスト社元幹部の大杉澄夫容疑者(46)=神戸市須磨区=を新たに逮捕した。一連の事件の逮捕者は8人となった。

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