記事登録
2008年10月27日(月) 06時05分

公的資金枠10兆円に増額へ 金融強化法改正案で検討中国新聞

 政府は二十六日、金融機関に公的資金を資本注入する金融機能強化法の改正案について、資本注入の原資となる政府保証枠を二兆円から十兆円規模に大幅に増額する検討に入った。株価が急落し、バブル後最安値に迫る中、銀行などの保有株式の評価損が膨らみ、自己資本が低下する恐れが出ている。政府は公的資金枠を増額することで金融機関の健全性に万全を期す姿勢を市場に示し、安心感を与えたい考えだ。二〇〇八年度補正予算か来年度予算で手当てするよう調整する。

 株価急落を受けて政府は、銀行が保有する株式の買い取りなどの緊急市場対策を策定中。公的資金枠増額も含め、二十七日の株式市場が開く前にも具体策を提示したい考えだ。

 金融機能強化法の改正案は、銀行や信用金庫、信用組合などの自己資本を公的資金の注入で予防的に増強。貸し渋りを防ぎ、中小企業融資の円滑化を図るのを目的としている。

 従来の法律は資本注入の申請期限が今年三月末で切れたため、二十四日に国会に提出した改正案では、期限を二〇一二年三月末まで延長。経営責任を原則問わないなど、注入条件を緩和した。

 改正案の公的資金枠は〇八年度予算で確保した約二兆円で据え置いた。しかし、与党から増額を求める声が出ていたほか、与謝野馨経済財政担当相も二十六日のテレビの報道番組で「二兆円では足りない。十兆円くらい」と指摘していた。

 緊急市場対策は、政府や日銀による銀行保有株式の買い取りや、株式を持たずに売り注文を出す「空売り」規制の強化なども検討しており、金融機関の健全性確保策と合わせて株価急落に歯止めをかけたい考えだ。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200810270108.html