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2008年10月27日(月) 06時05分

クロマグロ漁の中止を勧告 大西洋管理機関の外部評価中国新聞

 大西洋のクロマグロなどを管理する国際機関「大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCAT)」の外部評価委員会が、ICCATによる資源管理が失敗し、乱獲によって個体数が激減しているとして、東部大西洋と地中海のクロマグロ漁中止を勧告する報告書をまとめたことが二十六日、明らかになった。

 十一月にモロッコで開く年次会合に提出される。日本をはじめとする加盟国は改革に向けた厳しい対応を迫られることになる。

 東部大西洋・地中海はクロマグロの最大の漁場で、大半が日本に輸出されており、漁業が制限されれば漁業者だけでなく、日本の食卓にも大きな影響が出る。

 報告書は、加盟国が適切な漁獲データを提出せず、割り当てられた漁獲枠を無視した漁が続いていることや、一部の魚でそもそも過剰な漁獲枠が設定されていることなど問題点を指摘。「資源保護という目的を達成しているとは言えない」と断じた。

 報告書は、資源管理の失敗を「国際的な不名誉だと広く受け止められている」と厳しい調子で批判。「(多くの国が)規制に従っていないことが最も深刻」として、漁業の禁止や多額の罰金など違反国に対する罰則の強化など計七十項目を挙げ、抜本的改革を要請。

 東部大西洋・地中海のクロマグロについて「漁を即座に中止し、関係国や業者がICCATやほかの国際法、勧告を完全に受け入れ、各国が漁業を適切に管理できるまで中止を解除すべきではない」と勧告した。

 評価委は二〇〇七年、神戸市で開かれた国際会議で、マグロ資源の管理機関の業績を評価する重要性が指摘されたのを受けて設置され、林司宣はやし・もりたか早稲田大名誉教授(国際法)らが参加した。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200810270111.html