記事登録
2008年10月27日(月) 06時05分

容疑者関与の指摘当初から 「もっと早く解決できた」中国新聞

 二億円の宝くじに当せんした岩手県一関市の吉田寿子よしだ・ひさこさん=当時(42)=が二〇〇五年に殺害された事件は、熊谷甚一くまがい・じんいち容疑者(51)の逮捕まで約三年半を要した。周囲では吉田さんの失踪しっそう当初から、交際相手だった熊谷容疑者の関与がささやかれており「もっと早く解決できたのでは」との指摘も出ている。

 吉田さんは〇五年四月以降、行方不明に。付き合いがあった六十代女性は、家族が捜索願を出すのに付き添った。

 「県警は本気で捜査しているとは思えなかった」と女性。「吉田さんは熊谷容疑者を『信用できない』と言っていたから、熊谷容疑者の存在を何度も県警に伝えたのに」と振り返る。

 その後、別の事件の聞き込みで訪れた捜査員に吉田さんのことを尋ねると、「ああいうケースは温泉地で働いていることも多いから」と言われたという。

 「吉田さんを知りませんか」。知人の三十代男性は失踪直後、熊谷容疑者が経営する会社に問い合わせた。県警にも吉田さんの資料を提供した。

 〇七年初めごろ、捜査員が訪れ「吉田さんが免許を更新しておらず事件性が強まった」と説明、資料提供を求めた。「失踪直後に全部提出した」と責めると「見当たらない」と答えたという。

 二人の交際は、吉田さんの勤務先でも比較的知られていた。元同僚の女性(63)は「いなくなって約一年後に警察が来たので、『付き合っていた』と教えた」と話す。

 県警は逮捕直後の記者会見で、早い段階から事件に巻き込まれた可能性があるとの認識があったことを強調した。

 捜査幹部は「逮捕には多くのハードルがあった。容疑者が浮上してもすぐ逮捕、というわけにはいかない」と話す。「大きな金の動きが分かって着手が早まった」と、吉田さんの宝くじ当せんが判明して捜査が急展開したことを示唆した。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200810270115.html