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2008年10月27日(月) 03時04分

発信元割り出し困難、「IP電話」で振り込み詐欺読売新聞

 新潟県警に逮捕された東京都内の振り込め詐欺グループが、携帯電話より相手に信用されるとして、「03」で始まる番号を通知できるIP電話で被害者に接触していたことが、捜査関係者の話でわかった。

 警察庁によると、振り込め詐欺事件で犯人グループが使う通信手段は、架空名義やレンタルの携帯電話が主流。同庁では「IP電話を悪用した事件の検挙は聞いたことがない。警戒が必要だ」と話している。

 逮捕されたのは、東京都大田区大森西、自称自営業原充博容疑者(30)ら6人。県警の発表によると、6人は今月上旬、大田区内のマンションから新潟県十日町市に住む女性に電話をかけ、融資保証金名目で3万1250円をだまし取った疑い。県警は、押収した帳簿から昨年11月から今年10月に逮捕されるまで約1億円を稼いでいたとみている。

 捜査関係者によると、グループがIP電話を使うようになったのは今年8月から。拠点が割り出されないように都内の仲介業者のコンピューターを通じて、NTTの回線につながるようにした。

 この電話はインターネットが通じる場所であればどこからでもかけることができる。アジトを移すのが容易なうえ、NTTと契約をしているのが仲介業者であるため、「被害者にかけられた番号からグループを割り出すのは難しい」(県警幹部)という。グループの1人が別の詐欺事件に関与していたことがきっかけで逮捕されたが、原容疑者は「この電話なら、警察にアジトが判明する心配も少なかった」と供述しているという。

 振り込め詐欺を巡っては、警察庁が7月、架空名義の携帯電話や銀行口座を供給する「道具屋」の摘発強化などを全国の警察本部に指示。契約時に提示される免許証について、警察が携帯電話会社からの照会を受け付ける準備を始めるなど、不正携帯の封じ込めを進めている。

 12月1日からは、レンタル携帯の本人確認を厳格化した改正携帯電話不正利用防止法も施行される。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081026-00000038-yom-soci