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2008年10月27日(月) 02時30分

<金融危機>大手3行、大型増資へ…株安、邦銀に波及毎日新聞

 三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)など大手銀行3グループが、大規模増資を検討していることが分かった。三菱UFJは最大1兆円、みずほFGと三井住友FGも数千億円の資本を調達する方向で調整している。金融危機の深刻化で日本も株価が急落し、大手行が保有する株式に多額の含み損が発生。株安が長期化すれば決算で損失処理を迫られ、資本が大きく目減りする可能性があるため、大型の資本増強で経営安定化を図る。

 危機の震源地である米国や欧州の金融機関に比べ、邦銀は傷が比較的浅く、これまでは三菱UFJが米証券大手モルガン・スタンレーに90億ドル(約8500億円)の出資を決めるなど「救済役」となってきた。だが、24日の日経平均株価がバブル崩壊後の最安値目前に迫り、邦銀も自己資本の強化に乗り出さざるを得ない情勢となった。

 三菱UFJの増資は、6000億円強の普通株を公募で発行するとともに、議決権がない代わりに配当を優先して受けられる優先出資証券の引き受けを機関投資家向けに募る方向で調整している。みずほと三井住友は優先出資証券のみでの増資を検討している。

 3グループの経営の健全性を示す自己資本比率は6月末時点で三菱UFJが10.73%、みずほが11.59%、三井住友が10.35%。いずれも国際的に業務を展開するのに必要な健全基準(8%)を上回っているが、9月以降の金融危機で日経平均が急落し、保有株に多額の含み損(1行当たり数千億円)を抱えたとみられる。株価がこのまま低迷すると、決算で含み損を損失として確定しなければならず、10〜12月期決算期末の12月末に自己資本比率が10%を割る公算が大きい。

 米欧金融機関のように赤字決算には陥っていないため、自己資本比率が8%を下回る可能性は低く、公的資金による資本注入は必要ない。だが、「市場の信認を維持するには10%を確保することが必要」(大手行首脳)と判断し、3グループとも年内をめどに自力での増資を目指す。

 また、国内景気の悪化で企業倒産が相次ぐ中、大手行は政府から中小企業向けの融資拡充を求められており、貸し出し余力を増すためにも資本の充実が不可欠な要素になっている。【斉藤望】

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