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2008年10月27日(月) 16時01分

支局長からの手紙:ドタバタの舞台裏 /和歌山毎日新聞

 本社主催「毎日ウイーク・イン・和歌山」が無事終了しました。当日紙面で書き切れなかったことや内輪話などをご紹介します。
 開幕は18日、田辺での「紀州『くまぐすの森』植樹祭」で、指導する宮脇昭・横浜国立大名誉教授の講演会が前夜にありました。商業用のスギ、ヒノキではなく、シイ、タブ、カシなどを世界で3000万本も植え続けている実践者は、大震災で広葉樹が建物を守ったと写真などで解説。「木を1本も植えたことがない者に、命の大切さは語れない」と断言。中国での植林に参加した人が、「人生の中で一度くらい、いいことをしたかった」と動機を説明したのが新鮮だったそうです。「ボランティアは身銭を切って参加するもの」というのも、宮脇さんの持論です。
 19日のメーンイベント「和歌山城からエコ発信!」には5000人も参加。東京からやってきた石垣島出身の歌手、RYOEI(りょうえい)さんは、ファンとの写真撮影も気軽に。「do(ど)ki(き)do(ど)ki(き)」の出演が遅く決まったので控室を確保できなかったのですが、RYOEIさんに同室を恐る恐るお願いすると「一緒にステージに立ったこともあるから」と快諾してくれました。
 そのRYOEIさんは前夜、元漫才師で画家に転身した大西幸神(こうじん)(雅号・太陽)さんと、ワインバーでばったり。太陽さんは石垣島でも太陽の絵を描いたことがあり、意気投合したそうです。太陽さんの絵画パフォーマンスも盛り上がりました。拉致被害者の有本恵子さんの両親、明弘さん(80)と嘉代子さん(82)=神戸市=の来訪が決まったのが2日前。さらに翌日、太陽さんが和歌山で描いた絵をプレゼントすることになり、夫妻がステージに上がってお話を聞かせてくれることに了解を得たのは、本番30分前というドタバタでした。
 和歌山地裁を25日に開放してもらった「裁判員制度を知ろう!」も、傍聴席は満席に。和歌山信愛女子短大付属高3年生3人も、「受験に役立つかも」と先生から勧められて参加。「いずれは裁判員を経験したい」と言っていました。裁判官らとの質疑応答は、手が上がらなければ私が質問するつもりでしたが、10人以上の質問に時間オーバーするほど。審理で多数決する場合、裁判官の意見が優先されることもあると回答されると、「民意を尊重するのが目的の制度に逆行するのでは」という鋭い再質問も出ました。
 当初、模擬裁判も計画したのですが、運営上の理由でとりやめてホッとしていました。というのも、そのシナリオは「毎日新聞和歌山支局長が、出会い系サイトで知り合った少女と関係を持った」という事件で、私が被告席に座らされるところでしたので……。
 そして、最終日26日の俳句ウオークも盛況で、幕を閉じることができました。後援の県、和歌山市、同市教委や裁判員イベントに協力いただいた法曹3者など、多くの方々と読者にお礼申し上げます。【和歌山支局長・嶋谷泰典】

10月27日朝刊

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081027-00000183-mailo-l30