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2008年10月26日(日) 00時06分

工場の地下水から基準超えるシアン…伊藤ハム、製品自主回収スポーツ報知

記者会見で頭を下げる伊藤ハムの幹部ら。手前は回収対象になった商品

 伊藤ハム(兵庫県西宮市)は25日、千葉県柏市の同社東京工場で、ウインナーやピザの製造時に使う地下水から基準値を超えるシアン化物イオンと塩化シアンを検出、製品への混入の恐れがあるため、沖縄を除く46都道府県に出荷した13種類の製品、計約267万パック(賞味期限切れも含む)を自主回収すると発表した。

 回収するのは「あらびきグルメウインナー」などウインナーやソーセージ9種類と、「ラ・ピッツァマルゲリータ」などピザ4種類。ウインナー二種類について製品に塩化シアンなどが残っていないか調べており、30日に結果が出る見込み。

 25日夜に記者会見した山田信一専務は「深くおわびします」と謝罪。9月に最初に検出されたのに公表が遅れた理由について「現場の課長レベルで話が止まり、本社への報告は22日だった。不適切な対応で猛省している」と釈明した。回収には約3億円かかるという。

 塩化シアンは毒性があるが、同社は「食べても人体に影響はない量だと考えている」としている。これまでに健康被害の報告はないという。

 同社によると、工場内に3カ所ある井戸の1カ所について、9月18日に3カ月に1回の水質検査をしたところ、1リットルあたり0・02ミリグラムを検出し、基準値(同0・01ミリグラム以下)を上回った。

 1週間後の再検査でも0・03ミリグラムを検出した。別の井戸でも10月3日の検査で0・014ミリグラムを検出したため、2つの井戸からの地下水使用を見合わせた。

 地下水は、ウインナーやピザの製造や機械の洗浄に使っている。10月14日の再度の検査では、2カ所ともシアン化物イオンや塩化シアンは検出されていないが製品への使用は再開せず、残る1カ所の井戸の地下水で操業しているという。

 回収対象は9月18日以降に生産した約267万パックで、このうち賞味期限が切れていない製品は約194万パック。

 柏市役所は25日、東京工場の24日の立ち入り調査では地下水の数値は基準を下回っていたと発表した。

http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20081025-OHT1T00207.htm