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2008年10月26日(日) 03時39分

解散先送り示唆「国際的な役割優先」 与党の総選挙圧力とせめぎ合い産経新聞

 麻生太郎首相が25日に北京で行った内外記者会見で衆院解散・総選挙の先送りを示唆したのは、世界的な金融危機を議論したアジア欧州会議(ASEM)首脳会合を通じ、「政局より政策」との考えに自信を深めたためとみられる。早期解散論者だった首相も、国際舞台で直面した現実を無視はできなかった。そんな首相の心境もどこ吹く風、複数の与党幹部は25日も早期解散を求め続けた。解散先送りならば、求心力が低下するという懸念もあり、首相は追加的な経済対策をまとめる30日にも最終的な決断を迫られる。

  ■関心集中

 ASEMなど一連の行事を終えた首相は25日の記者会見でも、世界的な金融危機を踏まえた「経済の麻生」をアピールした。しかし、国内の関心事は首相がいつ解散を決断するかに集中しているのが実態だ。

 25日の会見を含め「政局より政策」といった首相の一連の発言を素直に受け止めれば、首相は「11月18日公示−30日投開票」という総選挙日程の先送りに傾いたといえる。首相の盟友である中川昭一財務相は25日、札幌市の講演で「今の時期に政治空白をつくらないという首相の判断は正しいと確信している」と述べ、景気対策優先の首相方針を全面的に支持した。

 一方で、与党の解散要求圧力も沈静化しないままだ。自民党の細田博之幹事長は25日に島根県で行った記者会見などで「今月中に(解散を)判断しなければ、これからの(税制改正や予算編成などの)段取りに支障が出る恐れがある。首相の信任が得られてさまざまな政策ができる方がよい」と述べ、来月末の総選挙実施を主張。公明党の高木陽介選対委員長もTBS番組で「(内閣)支持率が今後上がる担保はなく、今の段階で勝負を懸けた方がいいということもある。早くやっていただきたい」と述べ、露骨に早期の総選挙実施を求めた。

 ■展望見えず

 首相は24日の記者団との懇談で「(解散は)一番状況の良いときを狙ってやる」とも述べた。しかし、「一番状況の良いとき」がいつなのかという展望は見えてこない。米国に端を発した世界的な金融不安が日本経済にどれほどの影響を及ぼすかは読み切れない。いま解散すれば与党の過半数獲得もおぼつかないとの観測も出ている。

 解散熱のクールダウンを待ちつつ、着実に経済対策などを打ち出して成果を積み上げていけるのかどうか。「百年に一度の経済危機」を前に首相の苦悩は続きそうだ。(酒井充)

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