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2008年10月26日(日) 03時39分

江戸川の元会社役員遺棄 実行犯「仲介役」を逮捕 産経新聞

 静岡県富士市の山林で平成18年10月、東京都江戸川区の元運送会社役員、栩野(とちの)雅晴さん=当時(66)=の遺体が見つかった事件で、栩野さんと金銭トラブルになっていた同社元幹部に実行犯の強盗団を仲介した疑いが持たれている男が、警視庁に出入国管理法違反容疑で逮捕されていたことが25日、分かった。一方、強盗団のリーダー格で指定暴力団山口組系元幹部の野崎稔容疑者(50)=神奈川県警が強盗容疑などで逮捕=が、栩野さん殺害を認める上申書を提出したことも新たに判明した。

 警視庁捜査1課は栩野さん殺害への関与について男を追及する一方、野崎容疑者の勾留期限が満期を迎える31日以降、野崎容疑者ら実行犯3人を栩野さんへの死体遺棄容疑で逮捕し、栩野さん殺害の全容解明を進める。

 仲介役とみられているのは山口組関係者の男(41)。中国−日本間で不正に出入国していたことが判明し、中部国際空港から不正出国した容疑で今月上旬に逮捕された。野崎容疑者とは顔見知りで、警視庁は男が野崎容疑者の中国逃亡を手助けしていた疑いもあるとみて裏付けを進める。

 野崎容疑者は昨年4月に他人名義のパスポートで中国に逃亡したが、今年9月中旬に不法滞在で公安当局に身柄を拘束され、日本に移送。18年5月に横浜市内で自営業の男性(40)から現金約3900万円を奪った強盗容疑などで神奈川県警に逮捕された。

 県警の調べに、野崎容疑者は「事件を起こしたから中国に逃げた」と供述。栩野さん殺害についても全面的に認め、その上で上申書を提出したという。

 栩野さんは18年9月7日、都内の法律事務所を訪れた後、行方不明になり、翌10月1日に静岡県富士市の富士山麓(さんろく)で白骨遺体で見つかった。

 警視庁捜査1課の調べでは、栩野さんは会社で運送業務とは別に投機目的の不動産取引を担当し、利益を同社元幹部と折半するなどしていた。しかし、失踪(しっそう)直前に千葉県内の土地の名義などをめぐり、同社元幹部と激しく対立していた。

 捜査1課は、元幹部が栩野さんを強盗団に襲われたように見せかけて殺害することを画策、男ら山口組関係者を通じ、資産家を狙う強盗団のリーダーだった野崎容疑者に殺害を依頼したとみている。

 実行犯のうち、別の窃盗事件で服役中の男(27)は「野崎容疑者に誘われ、栩野さんの首を絞めて殺した」と供述。野崎容疑者と大阪で入院中の50代の男の3人で行った殺害状況などを詳述した上申書を提出した。殺害の報酬で数百万円を受け取ったといい、捜査1課は元幹部から実行犯への現金の流れを確認している。

 元幹部は任意の事情聴取に栩野さん失踪への関与を否定し、「栩野さんには失踪3日前に800万円、失踪当日にも800万円を渡した。栩野さんは1600万円の現金を持ち歩いていたはずだ」と話しているという。

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