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2008年10月26日(日) 00時35分

台湾民進党が「60万人」大規模デモ 対中傾斜政権を批判産経新聞

 【台北=長谷川周人】台湾の野党・民主進歩党は25日、中国に急傾斜する馬英九政権を批判し、台北市内で大規模な反政権集会を実施した。中国製の有害物質入り食品の問題で「反中ムード」が高まる中、デモ行進には一般市民も加わって参加者は主催者発表で「60万人」に膨らんだ。これに連動して李登輝元総統もこの日、政権批判を行い「台湾派」の大同団結を呼びかけるなど、馬政権への風当たりが強まっている。

 今年5月の政権交代と同時に民進党初の女性主席に就任した蔡英文氏は、演説で「対中譲歩が多すぎる。馬英九(総統)は謝罪し、内閣は辞職せよ」と連呼。中国と台湾の関係を「地区と地区」と表現する馬総統を批判し、対中接近を急ぐ馬政権の政策は台湾の主権を損なうと危機感を示した。民進党は下野後、党勢の立て直しに追われてきたが、この日の集会は、新政権下で行われた抗議集会としては最大規模となり、新指導部の始動を台湾社会に印象づけた。

 「(中国製)毒入り食品に反対し、台湾を守ろう」をテーマに開かれた集会で民進党は、(1)有害物質混入への中国政府による謝罪と賠償(2)対中接近が招く台湾の主権損失に対する馬総統の謝罪(3)内閣の総辞職−の3つを要求。対中融和による経済振興策を掲げながら、平均株価が政権発足時に比べてほぼ半分という事態を招いた馬政権の責任を追及した。

 台湾経済の失速は、世界的な金融危機や原油高などが背景にあるが、馬総統の支持率は就任時をピークに急落している。時事週刊誌「遠見」が10月に行った世論調査では、「満足」と答えた人が23・6%と過去最低を記録。「不満」を訴えた人も67・6%に増え、具体的な成果を生み出せない政権への住民のいらだちが透けてみえる。

 一方、李登輝元総統はこの日、「台湾の前途は台湾人民が決めることで、胡錦濤(中国国家主席)や馬英九(総統)が決めることではない。台湾を売り渡すな」と強い調子で政権の対中傾斜を批判。李氏はこれまで、陳水扁前総統の体制下にあった民進党と一定の距離を保ってきたが、「台湾の国家主権と安全を守るために行動せよ」と、一転して同党主催の反政権デモへの参加を呼びかけた。

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