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2008年10月26日(日) 00時40分

公立病院3割が直営見直し 都道府県と政令市中国新聞

 都道府県と政令指定都市が直接運営する二百二十九の公立病院のうち三割に当たる六十八病院で、経営改善に向け自律的な運営が可能となる地方独立行政法人化や運営の民間委託など直営方式からの転換について計画・検討されていることが二十五日、共同通信社のアンケートで分かった。

 独法化など民間手法を活用した経営効率化に対しては「へき地医療など不採算部門の切り捨てにつながる」との慎重論も根強いが、全国で千近い公立病院の約七割が赤字を抱える中、総務省が有効な改革策として推奨。今後、県立病院など地域医療の拠点で採用が広がれば、市町村を含めた公的医療機関の改編にも影響しそうだ。

 アンケートでは、すでに全病院を独法化などで非直営化した大阪、岡山、福岡の三府県以外の都道府県と政令市に、地方公営企業法に基づき直営している二百二十九病院の経営形態の見直しについて聞いた。

 このうち秋田県など八都県市の十八病院は、二〇一〇年度にかけ独法化や民間医療法人への運営委託などを計画。岐阜県など十四都道府県市の五十病院も、非直営化を含め見直しを検討している。二病院の独法化を計画している福岡市は「人事や予算の制約をなくし、市の担う医療を安定、効率的に提供するため」としている。

 一方、徳島県など二十八道県市の百八病院は「直営を維持する」方針。愛媛県は「不採算部門も担う県内各地の中核病院として直営が適当」、西日本の県は「直営でないと業務の監視に不安がある」と話す。その大半は特別職の事業管理者に人事や予算権限を委ね、直営でも経営の独立性をある程度備えた「地方公営企業法の全部適用」を採用。近年、経営改革の一環として移行した病院も多い。

 ただ、総務省は全部適用の経営改善効果を「限定的」とし、効果がない場合はさらに独法化などの検討を求めており、「当面は成果を検証したい」(青森県)など、将来の見直しに含みを残すコメントも目立った。

 その他の十八県市の五十三病院に関する回答は「未定」などだった。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200810260107.html