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2008年10月26日(日) 02時18分

<田中泥薬師>「お身ぬぐい」で4百年ぶり素顔 岐阜・瑞浪毎日新聞

 岐阜県瑞浪市薬師町の田中泥薬師で25日、泥を約400年間、塗り重ねられてきたとみられる本尊の薬師如来像の泥を落とす「お身ぬぐい」が行われ、謎だった“素顔”が現れた。高さ65センチ、幅30センチの像が花崗岩(かこうがん)に刻まれ、蓮(はす)の台座に立ち、左手に薬壺とみられる物を持っている。すり減っていて、顔立ちははっきりとは分からなかった。

 市教委は「薬師如来に間違いないだろう。年代が記されておらず、村人の素朴な信仰対象だったのではないか」と推測しており、これから詳しく調べる。

 約400年前の戦国時代末期に、織田信長が命じた神社仏閣の焼き打ちから本尊を守るため、土中に埋めたのが泥薬師の始まりといわれ、泥を塗った部分の病が治るとの信仰がある。脇の石灯籠(いしどうろう)に「寛延三年」(1750年)と刻まれているだけで、市教委にも資料がなく、2年前に発足した「田中泥薬師保存会」=小栗敏雄会長(75)=が「真の姿を知り、歴史も解明したい」と「お身ぬぐい」を実施した。

 長年積もった泥は天井のハリまで達しており、約60キロの重さがあった。泥は大切に保存し、地元関係者らと話し合って活用法を決めるという。小栗会長は「たたりがあると恐れる声もあったが、穏やかな表情で感激した。これからも一生懸命守っていきたい」と話していた。【小林哲夫】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081026-00000006-mai-soci