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2008年10月26日(日) 23時14分

メタボ対策の家庭用健康器具で事故多発 国民生活センター調べ産経新聞

 健康維持やメタボリックシンドローム対策など、家庭で手軽に運動ができるとして人気が高い家庭用フィットネス(健康)器具の事故が多発していることが、国民生活センターの調べで分かった。スポーツジムなどで使われる器具が手軽な家庭用として普及する一方、原因特定をめぐり、事故品を見れば推定が容易な一般家電の火災事故などと比べ、使用者に対する聞き取りに大きく頼らざるを得ないため、時間がかかるという課題も浮上している。

 同センターのまとめでは、平成15年4月から今月21日までに、健康器具による被害相談は計180件に上った。ほとんどが家庭用で、骨折、やけどのほか、神経や脊髄(せきずい)の損傷など、重傷に至ったものが29件もあった。

 同センターは「事故があっても相談を寄せない人も多い。寄せられた情報はごくわずかで、氷山の一角だろう」とみている。

 一方、経済産業省の調べで、重大な製品事故の報告が義務づけられた昨年5月以降、家庭用フィットネス器具で7件の事故情報が寄せられ、計7人が重傷を負ったことが判明。

 このうち5件は、製品不良によるものか、誤使用によるものかの結論が出ておらず、発生から1年以上たちながら、調査が継続されたままの事案もある。

 先月20日に起きた腹筋を鍛える座いすタイプの器具による事故では、背もたれ部分が急に起きあがり、使用者が鼻骨を折った。

 後方に転倒するのを防ぐ装置に不具合があったとみられるが、詳しい事故状況がメーカーから入ってきておらず、原因もはっきりしていない。

 究明に時間がかかるのは、事故品を見れば事故個所が明らかな一般家電やガス機器の火災事故などと異なり、1人で使うことが多い健康器具の事故は、正しい使い方をしていたかどうかに大きく左右されるうえ、原因調査が使用者への聞き取りに依存する面が大きいためだ。

 使用者が詳しく事故状況を思いだせないこともあり、「そうなると原因調査が困難になる」(経産省製品安全課)。中には、使用者が使用時間の制限や、注意事項を十分に理解して使っていたか疑問が残るケースもあるという。

 家庭用での事故が増えていることについて、同課は「以前は使い方を指導する専属トレーナーのいるスポーツジムにしか置かれていなかった製品が、家庭にも普及するようになったからではないか」と分析。事故防止のためには使用者側の注意も必要として、「取り扱い説明書などをよく読み、使い方をしっかり理解してほしい」と話している。

【用語解説】家庭用フィットネス(健康)器具

 ルームランナーや乗馬型機器、振動マシンなど多岐にわたり、量販店のほか、インターネットやテレビの通販番組を通じて大量に販売される。民間総合調査機関の矢野経済研究所によると、マッサージ機器を除いた家庭用フィットネス機器の市場規模は年々拡大し、今年は206億円(予測値)。

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