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2008年10月26日(日) 21時14分

三菱UFJが最大1兆円の資本増強へ みずほ、三井住友も検討産経新聞

 三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)が、年内にも最大1兆円規模の資本増強を実施する方向で検討していることが26日、分かった。同社は今月、米金融大手モルガン・スタンレーに総額90億ドル(約9000億円)出資したのに加え、最近の株価急落で保有株式に含み損も発生し、財務基盤の悪化を防ぐ必要があると判断した。みずほFG、三井住友FGも資本増強の検討に入っており、3メガバンクがそろって自力調達による経営体力強化に乗り出すことになる。

 三菱UFJは、普通株を発行して広く株主を募る公募と、特定の機関投資家に対し、議決権はないが配当や解散時の財産配分を優先的に受けられる「優先出資証券」を発行する私募を組み合わせて増資する考え。普通株は海外でも出資を募る方針で、調達額も私募分を上回る見通しだ。

 みずほと三井住友も優先出資証券の発行で、それぞれ数千億円規模の資本調達を検討しているもようだ。3社とも、引受先は大手生命保険会社など国内の機関投資家が有力とみられる。

 国際決済銀行(BIS)は、国際業務を行う大手銀行の自己資本比率を8%以上と規定。日本の3メガバンクはこれまで同比率が10%を上回る健全な体質を誇っていたが、最近の株価急落などで自己資本が目減りしている。

 自己資本が増えれば、それだけ企業に融資できる金額も増え、貸し渋り・貸しはがし対策にもつながる。ただ、増資で既存株主の利益が希薄化する恐れもあり、新たな株主価値向上策を迫られる可能性もある。

 三菱UFJは今夏以降、大規模なM&A(企業の合併・買収)を加速。米モルガンへの出資に加え、米地銀ユニオンバンカル・コーポレーションの完全子会社化や、国内消費者金融大手アコムの子会社化で、投資額は計1兆数千億円規模に上っていた。

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