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2008年10月26日(日) 21時13分

イスラエルのリブニ党首、組閣を断念 2月に総選挙の公算強まる 産経新聞

 【カイロ=村上大介】イスラエル与党第1党カディマ(中道右派)のリブニ党首(外相)は26日までに、自らが率いる新政権樹立に向けた組閣交渉を断念する意向を固め、同日中にペレス大統領と会談、早期総選挙の実施を求める。大統領が合意すれば、2010年に予定されていた総選挙は来年2月ごろに投票される見通しとなる。世論調査では、タカ派のネタニヤフ元首相率いる野党、リクード(右派)がリードしており、リブニ氏にとっては厳しい賭けとなる。

 汚職疑惑で退陣を表明したオルメルト首相の後を受けて9月の党首選で勝利したリブニ氏は、国会(定数120)の過半数を大幅に超える連立樹立を目指しての組閣交渉に臨み、バラク国防相(元首相)率いる与党第2党の労働党(中道左派)とは新たな連立協定で原則的に合意していた。

 このため、カディマ(29議席)と労働党(19議席)に加え、12議席を持つ与党第3党のユダヤ教超正統派政党シャスが再び連立に加わるかが焦点となったが、シャスはパレスチナ和平交渉の主要な争点の一つである聖地エルサレムの帰属問題を今後の和平交渉で一切、議題としないようリブニ氏に要求。外交面で同氏の手足を縛ろうとしたうえ、内政面でも児童手当の大幅増額を突きつけ、両者の交渉は決裂した。

 リクードなど右派政党は一貫して解散・総選挙を求めており、リブニ氏はこれ以上、組閣交渉を続けても安定過半数の確保は厳しいと判断したもようだ。

 女性のリブニ氏は故ゴルダ・メイヤ首相に次ぐイスラエル2番目の女性首相就任を目指しており、国民の間の人気も高い。26日のイスラエル有力紙ハアレツ(電子版)などによると、リブニ氏は「外交問題でも予算面でも脅しには屈しない。(妥協して)生き残ることではなく、国にとって良い結果を残さなければならない」と語り、政治的な駆け引きよりも原則を尊重する強い指導者とのイメージを国民にアピール。今後の選挙戦で、リクードとの支持率逆転を狙う構えだ。

 ブッシュ米政権が早期合意を目指してきたパレスチナ和平交渉は、イスラエル総選挙の結果や、米大統領選挙を受けた米新政権の外交政策見直しを経ることになり、来年春までは動きが凍結されるのは必至だ。交渉の枠組みも含めて、事実上、出直しとなる可能性も強いとみられる。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081026-00000552-san-int