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2008年10月26日(日) 17時59分

チェコ上院選で野党勝利が確定 首相窮地、MDに影響も産経新聞

 【ベルリン=黒沢潤】チェコで今月行われた上院選挙(定数81、改選数27)の結果が25日確定し、最大野党の社会民主党が23議席を獲得して勝利、保守系与党の市民民主党がわずか3議席と敗北した。福祉関連支出の削減や米国のミサイル防衛(MD)施設の建設に有権者が反発した形だ。

 今選挙の結果、非改選を含む総議席数は市民民主党が35、社民党が29。連立与党は依然、過半数を保っているが、市民民主党は今月中旬の地方選でも敗北しており、同党のトポラーネク首相が党首辞任に追い込まれる可能性もある。

 チェコにとって目下の重要課題は、政府が7月に米国との間で合意したMD施設の建設問題。下院では数週間以内に批准作業が行われるが、与野党の勢力が拮抗(きっこう)しており、法案が通過するか微妙な情勢だ。トポラーネク首相は、政治情勢が不安定化しているため、今月末予定の米国訪問をとりやめる事態にもなっている。

 チェコは来年1月から、欧州連合(EU)の議長国となるが、政権基盤が著しく揺らいでいることから、金融危機対策などで十分な指導力を発揮できないとの懸念も出始めている。

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