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2008年10月25日(土) 00時00分

鹿児島の暴力団事務所ビルから荷物搬出読売新聞

 鹿児島市の暴力団追放運動リーダー刺傷事件を起こした同市西千石町の山口組系松同組事務所ビルから24日、荷物が運び出された。鹿児島地裁は21日、組事務所としての使用を禁じた仮処分に同組側が従わなかったとして、組事務所として使うたびに1日100万円を住民に支払うように決めた。県警などは荷物搬出の理由などについての確認を急いでいるが、住民らは「組事務所が撤退したとは考えられず、まだ安心できない」と話し、警戒を緩めてはいない。

 住民らによると、24日午前8時ごろ、ビル横にトラックが止まり、5人が机やソファ、衣装ケースなどを運び出したという。ビルに出入りした男性は「引っ越しかどうかはわからない。片付けているだけかも」と繰り返し、詳しいことは話さなかった。

 組事務所の撤去を目指して暴追運動を展開している住民の男性は「引っ越しは見せかけかもしれないが、やっと運動が一歩前進したようにも感じる。完全撤退に向けて、ここからが本当の正念場だ」と、険しい表情を崩さなかった。

 鹿児島地裁は21日、事件の主犯格で松同組組長・松下光生被告(50)=控訴中=が、組事務所としての使用を禁じた3月の仮処分に従わなかったと判断。住民たちが7月に申し立てた「間接強制」を認め、組事務所としての使用1日につき制裁金100万円を住民に支払うよう決定した。

 住民たちを支援している弁護士の一人は「住民側に何の説明もないままの行動で、すべての荷物を出したかどうかも不明。監視カメラなど組事務所を機能させるのに必要なものは残しているかもしれない」と指摘したうえで、「相手側の動きに惑わされることなく、完全撤退に向けての動きをさらに強めたい」と語った。

 県警は仮処分後、二百数十回にわたる人と車のビルへの出入りを確認している。このうち山口組系暴力団に所属する4人の出入りが約8割を占めていた。

 県警幹部は「今回は間接強制を受けた動きと見られる。ただ、今回の表面的な動きだけをとらえて撤退とは言えない。住民が完全撤退と納得し、不安なく過ごせる日まで監視し続ける」と語気を強めた。

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/kagoshima/news/20081024-OYT8T00660.htm